一言でストック住宅といっても中身は様々
それは水回りの工事をしている段階で、スケルトン(躯体構造)に大きな不具合が見つかるケースがあるからです。そうなると、建物全体を一度洗いざらいにチェックして、大きな問題があるのならそれなりの費用をかけて大規模な改修をしなければいけません。わが国の住宅は既に量については随分と足りている状態。しかし、良質なストック住宅はまだまだ少ないという現状もある
実は、ストック住宅は長くそうした情報が消費者に開示されないまま取引が行われてきた経緯があるのです。ですから、購入した後に不具合があって、販売した不動産会社とトラブルになるケースだってあるわけです。
外見上、見栄えが良さそうな物件を購入したのに、しばらく住んでみると不具合が見つかるといったケースも。シロアリ被害なんていうのは、躯体の構造部分の問題であり、住んでみてから気付くもので、購入時には分かりづらいものなのです。
これは、私がある賃貸物件のリフォーム現場を見に行ったときのお話ですが、RC造の躯体のコンクリートの壁内に、ビッシリとタバコの吸い殻が混じっていたのを見たことがあります。聞くと、構造強度には問題がないそうなのですが、一昔前の施工現場のモラル(現場にゴミを捨てていた)ってそんな感じだったのです(写真が行方不明。お見せできなくて残念!)。
お買い得と思っていても、実は…
ストック住宅の問題点というのは欠陥の有無、購入した後にどれくらいのコストがかかるのか、いったいあとどれくらい住み続けられるのか、などがわかりづらい点にもあります。「お買い得」と感じられていても、実は…というケースもあるわけです。そして、ストック住宅に限らず、住宅購入の難しさは、建ってしまった後からではどのような不具合を抱えているのか把握が難しいことです。ですから、分譲住宅を購入して数年後、「欠陥住宅だった!」なんて話になるわけです。ストック住宅の場合、そうしたケースに遭遇する確率は新築より圧倒的に多いでしょう。
要は、購入する私たちと販売する住宅会社や不動産会社の間に立ち、ストック住宅の価値や安全性などについてアドバイスしてくれる第三者がいればいいのです。近年、ハウスメーカーや不動産会社では、そうした視点から様々な動きが見られるようになってきました。
そこで、次回は専門家にインタビュー。ここまで指摘してきた問題点を解決するために、どのようなことができるのか、について紹介していただきます。
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