特別展1「ファン・エイクからデューラーまで」

ドイツ絵画史上最大の巨人デューラー作品の魅力にも肉迫する展覧会(c)Museo Nacional del Prado

ドイツ絵画史上最大の巨人デューラー作品の魅力にも肉迫する展覧会(c)Museo Nacional del Prado

初期フランドル派作品を所蔵するグルーニング美術館

初期フランドル派作品を所蔵するグルーニング美術館

普段は初期フランドル派から現代美術までと、6世紀にまたがる南ネーデルランド(現ベルギー)の至宝の数々が堪能できるグルーニング美術館。ヨーロッパでも最重要の美術館のひとつと目されますが、本企画展の期間中は高名な常設展示もひと休み。それもそのはず本館の主役である巨匠ファン・エイクの作品群が、この特別展で大事な鍵を握っているからです。

テーマが同じ作品は並べらて展示されことが多く、比較できて楽しい

テーマが同じ作品は並べて展示されることが多く比較が楽しい

「ファン・エイクからデューラーまで」は、ファン・エイクを代表とする初期フランドル派の作品が、いかに東方地域、つまりは中央ヨーロッパの芸術家に影響を与えていったかを1420年から1530年までの期間に絞り観察するものです。ファン・エイクが完成させた「油彩技法」はまさに絵画史における大革命。とりわけ発色に優れた色彩効果で、自然や人間、光や空気までも如実に再現する写実的な表現や、奥行きのある雄弁な空間構成を可能にしました。

ロベール・カンパン、ロヒール・ファン・デル・ウェイデンら初期フランドル派の画家たちもまた、この生まれたての新技術でリアリズムを徹底的に追求。彼らの名声は近隣諸国に波及し、瞬く間にドイツ、オーストリア、ハンガリーといったアーティストに影響を及ぼしていきました。

 

絵画以外も彫刻、版画、デッサンなど様々な作品が

絵画以外も彫刻、版画、デッサンなど様々な作品が

一方、初期フランドル派絵画の秘密を盗むべく、ブルージュ、アントワープ、ブリュッセルといった現ベルギーの各都市を訪れる画家も急増。ドイツ西部出身のハンス・メムリンクもそのひとり。祖国を離れブルージュに移り住み、ロヒール・ファン・デル・ウェイデンの工房で修行したのち、画家として名声をおさめたのは広く知られる通りです。彼は初期フランドル派に影響を受けながらも、調和と甘美さを併せ持つ独自の作風を確立しました。

 

ビートルズもびっくり?デューラーが本物を見ないで描いたセイウチくん?The Britisch Museum

ビートルズもびっくり?デューラーが本物を見ないで描いたセイウチくん(c)The Britisch Museum

そして本展示はドイツを代表する巨匠アルブレヒド・デューラーの作品群で幕を閉じます。ファン・エイクからはじまる精密さへの欲求が、彼の熟練の技でひとつの頂点を迎えているのです。

なお「ファン・エイクからデューラーまで」展とほぼ同時期に、パリの美術館グラン・パレでは「France1500」と題された展覧会が開催中です。ブルージュで初期フランドル派の作品を鑑賞した後は、中世とルネサンスの狭間の時期にあたるフランスの美術を比べて見ると、贅沢で立体的な美術体験になること間違いありません。この時期ベルギーとフランスを併せて旅行する人は、ふたつの展覧会に足を運ぶことを大変おすすめします。

<DATA>
■Van Eyck to Dürer(ファン・エイクからデューラーまで)
2010年10月29日~2011年1月30日まで
グルーニング美術館/Groeningmuseumで開催
住所:Dijver 12
TEL:+32 (0)50 44 46 60
開館時間:火~日曜9:30~18:00
閉館日:月曜日、12月25日、1月1日
入館料:11ユーロ、65歳以上9ユーロ、6~25歳は1ユーロ