出産の基礎知識/陣痛・前駆陣痛・後陣痛

陣痛はいつくる? 陣痛の兆候・痛み・始まり方

陣痛とは、赤ちゃんを子宮の外に押し出す子宮収縮のこと。恥骨が痛い、トイレが近いなど……陣痛の兆候や痛み、始まり方を知っておきましょう! また初産の場合に比べて、経産婦は陣痛の強まりが早くなる傾向があることも押さえておきましょう。

竹内 正人

執筆者:竹内 正人

妊娠・出産ガイド

陣痛とはどんなもの?始まりはいつ?

陣痛はいつくる?身体に現れる、お産が近付いたサインとは?

陣痛はいつくる?身体に現れる、お産が近付いたサインとは?

陣痛とは、赤ちゃんを子宮の外に押し出す子宮収縮です。子宮が収縮することで子宮口が広げられ、赤ちゃんも下がることができるのです。陣痛は、子宮の筋肉がキューツと縮むのと休みとが、交互に繰り返しやってきます。

■陣痛の兆候・始まり方・目次  

臨月頃の陣痛の兆候・出産が近いサインとは

臨月だと、陣痛がいつくるか気にかかる

臨月だと、陣痛がいつくるか気にかかる

臨月に入るころから、お産が近くなってきたという体のサインが、いろいろと出てきます。たとえば、赤ちゃんが下がり始めることで、お母さんの胃のあたりはすっきりし、その分、下腹部に圧迫感を感じ始めます。鏡におなかの様子を映してみると、おなかのふくらみが、以前より少し下がっているのがわかるかもしれません。

これらのうちのいくつかを感じるようになったら、そろそろお産だなと、心の準備をしておきましょう。ただし、すべての人に、こうしたサインが現れてくるわけではありません。またこうしたサインがそろえば何日以内にお産という目安はありません。
 
  1. 胃のあたりがすっきりする
    それまで胃を押し上げていた子宮が、赤ちゃんの下降とともに下がり、胃への圧迫がとれてきます。食欲も少し増してくるかもしれません。
     
  2. 恥骨が痛くなる
    ホルモンの影響で恥骨の結合部分がゆるみ始めているからです。また、赤ちゃんが下がって頭を骨盤に入れてくるため、恥骨や足の付け根が圧迫されるような感じを受けます。こうして骨盤が開いてゆくことでお産にそなえてゆきます。
     
  3. おなかが張る
    これまでとくらべておなかの張りが頻繁になってきます。間隔が不規則なうちは「前駆陣痛」といって、まだほんものの陣痛ではありません。あれ来たかな?と思っても、静かにしていると、そのうちなくなってしまいます。陣痛の予行演習でもあり、こうした刺激が子宮口や産道を柔らかくしてゆきます。
     
  4. トイレが近くなる
    赤ちゃんの頭が下がって、膀胱を圧迫するようになるせいで、トイレの回数が多くなります。また、残尿感がある人も多くいます。
     
  5. おりものが増える
    産道を赤ちゃんが通りやすいよう、なめらかにするために、白くて水っぽいおりものが増えてきます。
     
  6. 腰が痛い
    赤ちゃんの頭が下がって腰を圧迫するようになります。

これまで腰痛とは無縁だったという人でも、痛みを感じることもでてくるでしょう。

お産の始まり!サインは「おしるし」「陣痛」「破水」の3つ

「お産の始まりがわからなかったらどうしよう」と心配な人も多いでしょうが、赤ちゃんは、突然に生まれてくるわけではありません。お母さんにわかる形で、「これから始まるよ!」というサインが必ずあります。そのサインとは、おしるし、陣痛、破水の3つです。ただし、どのサインから始まるかは、そのときになってみなければわかりません。
 

おしるし:数日以内に陣痛が始まる人や1~2週間かかる人などそれぞれ

おしるしがあると数日以内に陣痛が始まる

おしるしがあると数日以内に陣痛が始まる

お産が近づいてくると、子宮が収縮したり子宮口が開き始めたりします。すると、赤ちゃんを包んでいる卵膜と子宮の壁がこすれ合って出血することがあります。これが「おしるし」です。子宮頸管から出たおりものにその血液が混じって出て<るため、少し粘りけがあるのが特徴です。色は赤やピンクですが、少し時間がたって出てくるときには、生理の終わりごろのような茶掲色の出血になっていることも。一般に、自然に見られる出血がおしるしですが、健診時の内診の刺激でおしるしがみられることもあります。

おしるしがあると、数日以内に陣痛が始まるといわれて言われていますが、これも人それぞれ。そこから1~2週間かかることもあるので、あまり身構えないようにしておきましょう。もちろん、おしるしがなくお産になる人もいます。
 

陣痛:不規則な痛みが規則的になってきたらお産の始まりかも

赤ちゃんを子宮の外に押し出す子宮収縮が陣痛です。子宮が収縮することで子宮口が広げられ、赤ちゃんも下がることができるのです。陣痛は、子宮の筋肉がキューツと縮むのと休みとが、交互に繰り返しやってきます。最初は不規則で痛みもそれほどではありませんが、しだいに間隔が狭まり、痛みも増してきます。収縮が始まった時間から次の収縮が始まるまでの時間が規則的になってきたら、それがお産の始まりかもしれません。ただ、陣痛が10分間隔になっても、またおさまってしまうこともよくあります。

よく「陣痛ってわかりますか?」と聞かれることがありますが、僕は「きっとわかるよ。気づかないうちにぽろんと産まれてくれれば楽だけど、そういうことってないかな~」と、答えています。

これって陣痛なのかな?と迷う時は、しばらく様子を見ていていいでしょう。その時にはわかりにくいでしょうが本物の陣痛は、それまでの「前駆陣痛」とは明らかに違い、迷うことはないと思います。
 

破水:一般的には破水後1~2日以内に陣痛が始まる

破水とは、赤ちゃんを包んでいる卵膜が破れて、中の羊水が出てくること。本来は、陣痛が始まり子宮口が全開に近くなったころに起こるのですが、陣痛が始まる前に起こることもあり、これを「前期破水」と呼びます。子宮口付近には赤ちゃんの頭があって、破水すると、赤ちゃんの頭がせんの役割をします。ですから、羊水が全部流れ出てしまうことはありませんし、羊水は常に産生されているので、なくなってしまうことはありません。緊急に何かが起こるというわけではないで、それほど急ぐ必要はありませんが、病院に連絡をしたうえで、落ち着いて身の回りのことを片づけ、夫など必要な人にも連絡をすませて、病院へ向かいうようにしましょう。破水の時に、陣痛がきていなくても、一般には、破水後1~2日以内に陣痛が始まります。

なお、この時期、尿もれもあって、破水とわかりにくいことがありますが、破水の場合はたえずちょろちょろ。尿もれは1回出たあとに止まってしまうでしょう。匂いではよくわかりません。わかりにくい場合は、念のために受診し、確認をしてもらってください。

こうしたサインが見られた時にどうするかですが、産院によっても多少異なるので、心配や不安な時には、電話をして指示を受けましょう。一般には、おしるしや不規則な陣痛の場合は自宅で様子を。破水や規則的な陣痛があったら、連絡のうえで病院へ向かうと言うことになるでしょう。
 

経産婦だと、陣痛の進み具合や痛みは変わる?

初産婦と違い、経産婦では赤ちゃんが一度産道を通っているので、陣痛がくると子宮口は開きやすく、赤ちゃんも下がりやすいので、初産婦より陣痛は早めに強まってゆきます。

個人差はありますがお産にかかる時間は、初産婦の場合、平均で12~15時間のところ、2人目は6~8時間くらいになります。2人目は1人目の約半分の時間と考えておきましょう。3人、4人となるとさらに短くなる傾向があります。ですから、初産婦なら10分間隔、経産婦は15分間隔で規則的な痛みがくるようであれば病院に連絡するようにしましょう。

ただ、お産にかかる時間は短くても、経産婦だから陣痛が早めに始まる傾向はありません。1人目とだいたい同じ週数で陣痛が始まることが多いですが、1人目が予定日前だったのに、2人目は予定日を過ぎることもあります。ただし、1人目が早産の場合は、2人目も早産傾向にあるので注意をしておきましょう。

なお、経産婦ではお産の時間が短いので「前より軽かった」と、思う人が多いですが、逆に痛みが強く辛かったと思う人もいます。


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