出産予定日(妊娠40週0日)ちょうどにお産する人は約5%です。ほとんどの方は妊娠37週から42週の間で出産しますが、残念ながら、その出産の日を予想する確実な方法はありません。帝王切開や合併症妊娠などでは医学的判断で出産日が決まってしまいますので、実は、「私は、いつお産になるのだろう?」と悩むのは、今のところ正常な経過だからなのです。

この時期に、妊婦さん本人が「もしかして、お産が始まった?」と勘違いしてしまう痛みを伴う子宮収縮が前駆陣痛。「陣痛が始まったと思ったら前駆陣痛だった」「これって本陣痛?前駆陣痛?違いが分からない」などと不安になってしまう方も少なくないでしょう。陣痛のメカニズムを解説するとともに、前駆陣痛と本陣痛の違いが分からなかったどうすべきか考えてみましょう。


陣痛発来のメカニズムとは

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お産はもうすぐかな?

普段はニワトリの卵ほどの大きさの子宮ですが、妊娠中は筋肉が弛緩して収縮が起きにくく、著しく増大して胎児発育を妨げないようになります。一方、胎児が成熟し胎外で生活できる状態になると、それを感知して陣痛収縮のスイッチが入る。この子宮収縮の抑制と促進のメカニズムには、ステロイドホルモン、プロスタグランディン、オキシトシンなどが関与することが分っています。

■ ステロイドホルモン  
プロゲステロン(黄体ホルモン)、エストロゲン(卵胞ホルモン)、副腎皮質コルチゾールなどのステロイドホルモンは、胎児副腎と胎盤、母体の間でやり取りされ、胎児の成熟を感知するメカニズムに関係しています。

■ プロスタグランディン 
組織や細胞に炎症反応が起きると増加する物質で、早産は子宮内の炎症が原因と考えられています。陣痛が開始する際にも関与していると考えられており、陣痛促進剤としても使用されます。

■ オキシトシン
本陣痛が開始したのち子宮口が広がるにつれて急激に分泌され、分娩の進行を加速させます。陣痛促進剤としても使用されますが、子宮口が軟化していないと効果は少なくなっています。分娩後の母乳分泌に大きな役割を果たし、愛情ホルモンとしても注目されています。


妊娠中は、単純なメカニズムで陣痛のスイッチが入らないように安全装置が働いています。そのおかげで、胎児が子宮の中を居心地が良いと感じている間は、簡単には出てきません。酸素や栄養の吸収、代謝物の排出など、胎児が「子宮内では不自由だから生活環境を変えたい、もう外で生きていける」と感じるから生まれてくるのです。


前駆陣痛と本陣痛の違いって?

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前駆陣痛? 本陣痛?

前駆陣痛は分娩の準備段階と考えられ、子宮口が徐々に柔らかくなる作用があるとされていますが、「毎晩、前駆陣痛で寝られなくて辛かった」という方から「突然、陣痛が始まり、前駆陣痛は全くなかった」という方まで、人によって千差万別です。

前駆陣痛は医学的には"偽陣痛(false pain)"と言い、診察や経過などから結果的に、まだお産は始まっていないと診断されます。実は本来的には医学的な用語ではなく、妊婦さんご本人が陣痛と思ったけど、まだ本当の陣痛ではなかった場合に、その妊婦さんの気持ちを汲んで、それに寄り添う気持ちを示すための便宜的な表現とも言えます。専門家でもあらかじめ区別するのは難しいのですが、前駆陣痛(偽陣痛)と本陣痛を見分けるポイントとして下記のようなことが挙げられます。

■ 前駆陣痛 
陣痛周期が不規則で、間隔が短縮しない。痛みに強弱がある。夜中に目覚めるが、また寝られる。収縮の合間に家事ができる。主に下腹部の痛み。

■ 本陣痛
子宮収縮が規則的で、次第に間隔が短縮し、1回の収縮が60秒以上続く。収縮に強弱がなく、夜間は寝られない。収縮の合間も家事ができない。主に腰から臀部にかけての痛み。

陣痛時に、下腹部に手を当てて痛がっている間はお産になりません。腰やお尻に手をあてて痛がるようになると、お産が進行している可能性があります。


痛みを伴う子宮収縮なので、特に初産婦の方は、前駆陣痛の段階で焦るかもしれません。しかし自宅出産の時代は、産婆さんを何回も家に呼んだり、かつての病院では、夜間に先生や助産師を何度も起こしたりしたりもしていました。

本当は専門家にも分からないのですから、本陣痛と間違えて当然な子宮収縮と理解して、不安であれば遠慮なくかかりつけの産婦人科に相談して下さい。

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