意外と複雑な耳の構造
耳の構造は意外と複雑。大まかな役割を知っておくと、中耳炎についても正しく理解しやすくなります
■外耳・中耳・内耳
耳の外から鼓膜までを「外耳」、鼓膜の奥にある空洞部分を「中耳」、中耳の奥の部分を「内耳」と言います。
■鼓膜
鼓膜は外耳と中耳の間にある薄い膜ですが、1枚の膜ではなく、3層でできています。自分の鼓膜を見るのは難しいですが、家族など他人の耳たぶを少し後ろへ引っ張ってぺンライトで奥を照らすと鼓膜を見ることができます。直接見える部分は外耳に相当します。
■鼓室
鼓膜の中耳側と骨(上皮はあります)で囲まれた部分を鼓室と呼びます。鼓室にあるのが、鼓膜から続く耳小骨。鼓室は外気とは鼻腔(鼻咽腔)に続く耳管でつながっています。
■耳管
耳管の役割は空気圧の変化に対応した鼓室内の圧力調整。高層ビルの高速エレベーターで耳に違和感を覚えるのは圧力調整が間に合わないためです。耳管には鼓室からの液体を排出する機能もあります。
■耳小骨
鼓室にある耳小骨は鼓膜の振動を物理的に増幅して音を検出する内耳に伝えています。
(■ 耳垢)
耳の部位ではありませんが、耳垢は剥がれた外耳側の鼓膜と、外耳道の上皮にある汗腺(二種類あります)からの分泌物が混じってできます。「外耳側の鼓膜から耳垢ができる」ということは、後で説明する慢性中耳炎の一種である「真珠腫性中耳炎」を理解するのに必要な知識です。
次のページでは、中耳炎の種類と症状を解説します。