耳・鼻・喉の病気/中耳炎・外耳炎

中耳炎の種類・症状・予防法・治療法(3ページ目)

中耳炎は小児の時期には上気道炎から起きやすい病気。同じ中耳炎でも急性中耳炎、滲出性中耳炎、真珠腫性中耳炎で、症状が異なります。耳の構造を解説した上で、それぞれの症状、治療法を解説します。

西園寺 克

執筆者:西園寺 克

医師 / 感染症・健康情報ガイド


幼児の中耳炎のリスク・注意点

幼児は免疫記憶が乏しいので何回も上気道炎から鼻炎を起こします。幼児は解剖学的に耳管が短くて鼻炎からの炎症は直ぐに耳管から中耳に及びます。小児の気道に常在している菌(常在菌)が中耳炎の原因菌となります。小児では常在菌に対する免疫力(免疫記憶)が成人ほどしっかりしていません。

中耳炎の主要な原因菌は、肺炎の原因菌と同じ。肺炎になると菌が血液中に入って、菌血症という症状が起きます。菌血症から菌が中枢神経系に入りこむと髄膜炎が起きます。髄膜炎は治療可能な感染症ですが時に重い後遺症を残す事があります。幼児の中耳炎を軽く見てはいけません。

成人が小児より中耳炎になりにくいのは免疫と解剖学的な理由が関係しています。ウイルスに対して免疫記憶ができるので、鼻炎にもかかることが減ります。繰り返して細菌にも感染して原因となる菌に対しても免疫記憶ができています。解剖学的に耳管も小児よりも長くなっているために、鼻炎から中耳に炎症が伝わりにくくなっています。

中耳炎をよく起こす子どもの場合、治療中にプールなどに入ってよいか疑問に思う人もいるようです。中耳炎といっても状態はいろいろですが、鼓膜に穴があいているかどうかで対応法が変わります。少なくとも、耳だれがある場合は鼓膜に穴があいている可能性が高いのでプールは難しいです。中耳炎治療中は、耳鼻科の医師に相談してから対応するようにしましょう。


成人・高齢者での中耳炎の後遺症

程度はいろいろですが、慢性中耳炎は聴力の低下を引き起こす可能性が高い病気。加齢により聴力は誰でも落ちていくものですが、加齢による聴力低下は会話域の周波数より高い周波数から始まりがち。日常で気がつかないうちに進んでいることがあります。一方、中耳炎の後遺症で聴力が落ちる場合、山の頂上ではなく、いきなり中腹から下ることになります。より若い年齢で難聴を自覚することが多いようです。中耳炎で耳鼻科に何回も通った記憶がある人、親から中耳炎の話を聞かされた記憶がある人は一度聴力検査を受ける事をお勧めします。

中耳炎治療後……自分でできる聴力確認

聴力の落ち方は左右差がありがち。静かな場所でないとできませんが携帯電話で話を聞くときに持ち変えて音量を較べてみましょう。左右差に気がついた場合は片方の聴力が落ちている可能性があります。程度がひどい場合は、一度耳鼻科受診を検討してみましょう。
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