90%以上が3歳でまでに発症する「クループ症候群」とは

病院の受付で待つ親子

クループ症候群はおかしな咳が特徴的です

クループ症候群とは、声を出すための声帯やノドが、ウイルスや細菌に感染し、気道の粘膜が腫れてしまう病気。腫れによって気道の内腔が狭くなります。

クループ症候群の90%以上が3歳までに発症します。子供がクループ症候群になりやすいのは、元々気道の内腔が狭く、気道の組織も弱いため。突然、子供がノドが痛そうで特徴的な咳をし始めた場合、「クループ症候群」の可能性があります。クループ症候群の症状や原因、診断、治療法について解説しましょう。


咳の音は「ケンケン、コンコン」…クループ症候群の症状・特徴

オットセイの吠えるような咳をします。

オットセイの吠えるような咳をします。特徴的な咳なので、一度聞くとすぐにわかるでしょう

症状は突然出てきますが、一度聞くと忘れられない咳が特徴です。症状が出てくるのは夜が多いです。

  • 突然、呼吸困難(呼吸がしにくくなる)
  • ケンケン、コンコンと言った乾いた咳
  • 犬吠様(けんばいよう)咳…名前の通り、犬の遠吠えのような咳
  • オットセイのような咳
  • 嗄声(声がかれる)
  • 時に発熱
が見られます。


クループ症候群の種類

 一言でクループといっても、腫れが起こる部分によって名称は様々。口から入ってくるのが食物か空気かを見分け、食道と気管に交通整理をしている蓋のような部分を「喉頭蓋(こうとうがい)」と言いますが、ここが腫れた場合は、「喉頭蓋炎」と呼びます。一方で、ノドの手前が腫れているのであれば、風邪に近い「咽頭炎」、ノドの奥なら「喉頭炎」、声を出す声帯なら「声帯炎」と呼びます。

腫れを起こすウイルス、細菌も一種類ではありませんが、特にジフテリアによるものを「真性クループ」、ウイルスなどによるクループを「仮性クループ」と言います。クループ症候群とは、これらの真性・仮性クループに加えて、インフルエンザ菌による喉頭蓋炎を合わせたもの。なお、ジフテリアによるクループが減ったため、真性クループはほとんどなく、単に「クループ」と言われた場合は仮性クループを指します。

クループ症候群の原因……菌によっては重症化の危険も

多くはウイルスで、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、RSウイルスなど。細菌ではインフルエンザ菌、溶連菌などがあります。

中でも、特に注意が必要なのはインフルエンザ菌。主に1~5歳までの乳幼児がかかるインフルエンザ菌b型(Hib)による喉頭蓋炎は、急にノドの部分が腫れてしまい、息が全くできなくなります。よだれが多くなり、あっという間にノドが腫れあがってしまうので、速やかに気管を切開して肺に酸素を送らないといけません。この病気を予防するための予防接種があります。

また、現在はDPT-IPV四種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ)によって少なくなりましたが、ジフテリアによるクループは、ノドに白い膜(偽膜)が出ます。ジフテリアは秋から冬に多く、2歳~7歳の子供に多い病気でした。定期接種であるDPTワクチン(現在は、DPT-IPV)の効果は非常に大きく2000年以降は発生していません。ジフテリアの毒素が心臓に炎症を起こす心筋炎や不整脈を起こし、重症化してしまいます。

クループ症候群の検査法・診断法

咳を聞けば、クループ症候群かどうかは診断できます。夜に咳をしていても朝には治まるケースがあるので、どんな咳をしていたかを記録して医師に伝えるようにしましょう。

ノドのX線写真や鼻から入れる内視鏡で、ノドの状態を見ます。ノドの写真では、狭くなった気道を確認したり、気道が狭い所より肺側が大きく風船のように腫れているのが見られます。

クループ症候群の治療法

ノドを腫れを減らすために吸入することが大切

ノドを腫れを減らすために吸入することが大切

■ウイルスが原因の場合
ウイルスに対して特効薬はありません。水分をしっかりとり、安静にして加湿しておきます。文字通り咳を鎮める薬である「鎮咳薬」を使うこともありますし、呼吸が苦しくて、酸素が不足している場合には、酸素吸入をします。また、ノドの腫れを取るために、血管を収縮する作用のあるアドレナリン(ボスミン)という薬剤を吸入したり、ステロイドを内服、注射をします。

■細菌が原因の場合
細菌が原因の場合は、さらに抗生剤を使います。特にインフルエンザ菌に効果のある抗生剤が望ましいでしょう。ジフテリアの場合、ジフテリア毒素に対する血清を投与します。

喉頭蓋炎になってしまうと、気管切開と言って、外からメスを入れて、直接、気管に管を入れて呼吸を助けたりする必要があります。

クループ症候群の予防法

ジフテリアとインフルエンザ菌による喉頭蓋炎はワクチンで予防できます。ジフテリアは、DPT-IPV四種混合ワクチン、DT二種混合ワクチンのDがジフテリアです。

インフルエンザ菌では、Hibワクチンで予防でき、海外では、既に、Hibワクチン接種を行なうことで激減しました。Hibワクチンについては、「インフルエンザ桿菌(Hib)ワクチンの方法と効果」をご参照下さい。海外では、DPT三種混合ワクチンにHibを混合させたワクチンが定期接種されています。
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