マタニティーブルーズは生理的なもの。時間が解決してくれます

マタニティブルー

産後の落ち込みはホルモンの影響

不安で、大変だった出産も無事に終わり一段落、待ちに待った赤ちゃんにも会えて、うれしくてたまらないはずなのに、心にぽっかり穴が開いたように、どこか悲しい気持ちに。えっ、これってもしかして……。

症状は産後2~3日以内に現れる

産後2~3日、30~50%の方が、情緒不安定(笑ったかと思うと次には泣いている)になったり、不眠、抑うつ気分、不安感、注意散漫、イライラ感などの精神症状を経験します。これらの症状ピークは産後の5 日目頃で、10 日目ぐらいまでには軽快してきます。これがマタニティーブルーズで(※.マタニティーブルーと呼ばれることもあります)、胎盤からの女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少するなど生理的要因が強くかかわっていると考えられています。

マタニティーブルーズの特徴は、とにかく短期間で症状が現れて消えてゆく(一過性の)こと。だから、無理に前向きにと思う必要はありません。そのままでいいのです。ただ、何となく悲しいことを、信頼できる人に伝えられるといいでしょう。身近な人にはかえって話しにくいかもしれません。そんな場合は、信頼できる助産師さんか医師に話してみるといいでしょう。


心が弱いからなるのではない

不眠などにより心身の消耗が著しい場合には、夜間は赤ちゃんを預かってもらいゆっくり休むだけで症状が軽快することが多いでしょう。薬剤を使うことは通常ありませんが、不眠などの症状が強い場合に睡眠薬や抗不安薬を処方することが稀にあります。

皆さんには、分娩後1週間は、特に異常もないのに、情緒不安定になる可能性があるということ。それは誰にでも起こりうること。もし自分がそうなったと感じても、思いつめず、そのままでいれば時間が解決してくれるということを、知っておいてください。

そして、家族の方には、マタニティーブルーズは生理的な症状で、心が弱いからなるのではないということ。この時期は「しっかり!」と励ますのではなく、あたたかく見守って欲しいということが伝わってほしいです。 
 

時間がたっても改善しない場合は産後うつ病の疑いが

2010年7月、日本テレビアナウンサーの山本真純さんが出産後5ヶ月で飛び降り自殺をし、その理由として「産後うつ」の可能性があると伝えられました。実のお兄さん話では、もともとは「心臓に毛が生えている(と思える)ほど、明るく信念があった」という山本さんが、出産2ヶ月後、周囲に「すべてにおいて自信がない」と、不安を口にしていたそうです。

マタニティーブルーズは産後10日以内に一過性であるのに対し、産後数週間から数ヶ月以内に気分が沈むようになり、周囲に対する興味や喜びが感じられないこと、不安、緊張、集中困難、不眠、必要以上に罪悪感を抱いて自分を責める、自分はまったく価値のない人間だと感じるなどの心の症状がでてきて、2週間経っても改善しない場合や悪化傾向がみられる場合には産後うつ病が疑われます。疲労、頭痛、食欲不振などの何らかの身体的な症状を伴うことも、通常のうつ病と同じです。

赤ちゃんの健康や母乳に関する心配が多い

産後うつ病の特徴は、「自分の赤ちゃんが泣きやまないのは、何か子どもに大きな病気があるからだ」という気持ちにとらわれたり、「私のような母親では赤ちゃんに申しわけない.死んでしまおうか」など、訴えの内容が母親本人についてではなく、赤ちゃんの健康や母乳に関する心配など、育児に関連した内容が多いことです。
 

「産後うつ」はれっきとした病気です

産後うつ病でも、その多くは、周囲の理解とサポートが有効な、育児には著しい障害を来たさない軽度から中等度です。精神科など医師の治療は必ずしも必要ではなく、お母さんの気持ちを夫をはじめとした家族に打ち明けたり、家事や育児の手伝いなどがあれば、自然に改善していくことも多いでしょう。ただし、産後うつはれっきとした病気です。症状が改善しない場合は、決して無理をせず、頑張らずに、早めに医師に相談してください。軽度から重症までを含めると、約10%の産後ママが産後うつ病になると考えらています。

山本さんほどの重症例は稀ですが、症状が長引くときは、抗うつ剤や抗不安薬、睡眠剤などの処方やカウンセリングが必要です。適切な治療がなければ、症状は進行してゆき、重症になると入院加療となるでしょう。

また、母親の産後うつ病は改善しても、将来の再発する可能性も高まるので、長期的なフォローも大切です。さらに、母親がうつ病の場合は子どもの精神的発達に少なからずネガティブな影響を及ぼすことが知られています。お母さんの治療と同時に、子どものケアの配慮が必要となります。

>> 産後うつのスクリーニング法