「桂枝茯苓丸」はどんな人・どんな症状にいいの?
女性は一生を通じて、血にまつわるトラブルが多い
血行不良(オ血)による痛みやしこり、冷えのぼせ、生理トラブル、更年期障害などに。
「桂枝茯苓丸」の効果
血行不良による下腹部のしこり、不正出血、生理痛、無月経、子宮内膜炎、子宮筋腫、難産、産後のオロなどのほか、頭痛、肩こり、冷えのぼせ、便秘、足腰の冷え、シミ、ニキビなどにも。
「桂枝茯苓丸」に入っているもの
画像提供:漢方のイスクラ薬局新宿店。桂枝茯苓丸は、血をめぐらす漢方薬。血の巡りが悪い状態=オ血による、月経痛・月経不順・更年期障害・肩こりなどに多く使用します(店主談)
桂枝(シナモンの部位違い)、桃仁(モモの種子)、牡丹皮(ボタンの根皮)、芍薬(シャクヤクの根)、茯苓(サルノコシカケ科のマツホドの菌核)。
「桂枝茯苓丸」が合わない人
婦人病の疾患に多く用いられる処方ですが、血行不良による諸症状がみられない時など。なお、桃仁や牡丹皮は少量であれば問題はないのですが、血のめぐりをよくしすぎると流産や早産を引き起こす原因にもなるので、妊娠中の人はドクターの指示に従って服用ください。
「桂枝茯苓丸」の飲み方などの注意点
■ 飲む時間一般的には食事と食事の間の空腹時、食事をする1時間前など、お腹が空で胃に吸収されやすい時期に飲みます。胃腸が荒れやすい人には食後、排便をうながすタイプの漢方には、空腹時の服用を勧める場合もあります。なお、食間に飲み忘れたときは、食後でいいので飲みましょう。
■ 「水」or「白湯」?
症状によって、冷たい水で飲むほうが効果的な場合(その反対も)もありますが、基本的には生薬を水で煎じた「煎じクスリ」の場合は、人肌に冷まして飲みます。生薬の有効成分を抽出して乾燥・加工した「エキス剤」の場合、お湯に溶かしたり、水と一緒に飲んでください。
「桂枝茯苓丸」の副作用
体質や症状に合わない、西洋薬との併用、アレルギー体質などの場合、不快な症状が出ることがあります。ちょっとおかしいな、と思ったらすぐ服用をやめ、漢方の専門家や処方してくれた医師に相談しましょう。
「桂枝茯苓丸」が買える場所
漢方薬局や病院、診療所、ドラッグストアなどです。代表的な商品名:(アイウエオ順)
- 一元桂枝茯苓丸(一元)
- 「クラシエ」漢方桂枝茯苓丸料エキス顆粒(クラシエ)
- ケイブックS(桂枝茯苓丸料)(コタロー)
- JPS桂枝茯苓丸エキス錠(ジェーピーエス)
- ツムラ漢方桂枝茯苓丸料エキス顆粒(ツムラ)など
「桂枝茯苓丸」の漢方的メカニズム<中級者向けトリビア>
血のめぐりが悪くなると気や水の流れも阻害され、しこりやしこりによる痛みを生じやすくなります。とくに子宮や卵巣系に悪影響を及ぼすと生理痛や不正出血などを引き起こしたり、血の停滞により難産や産後のオロがひどくなる事も。なお、血行不良にともない、カラダに余分な水分が溜まりやすくなるのですが、水分代謝を良くしながら血液の流れをスムーズにするような処方になっています。
■ 具体的な生薬の効能
主薬の桂枝がカラダを温めながら血の流れを促進し、茯苓は消化機能を調節して水分代謝をよくします。桃仁・牡丹皮・芍薬が血行不良を解消しながら余分な熱を冷まします。
「桂枝茯苓丸」のおまけのエピソード
古典の『金匱要略』には婦人の下腹部のしこり(ちょうか、塊)の処方とされていますが、これは今でいう子宮筋腫や卵巣のう腫などの疾病に相当するものでしょう。なお、現在一般的に売られている桂枝茯苓丸は粉末や錠剤が多いのですが、本来は粉末をハチミツで成形した「蜜丸」でした。蜜丸にすると吸収がおだやかになり、薬効が緩和されたり、慢性的な症状に適しているという特長があります。処方名からその方剤の特長や配合がわかる代表的な例でもありますね。