性感染症・STD/尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマ、その症状と治療、薬(2ページ目)

日本で初めて尖圭コンジローマ治療薬のベセルナクリームが発売されました。尖圭コンジロームは、10代後半~30代の若い人に多い性感染症です。治療の知識も合わせてご理解いただければと思います。

三上 彰貴子

執筆者:三上 彰貴子

薬剤師 / 薬ガイド

ベセルナクリームについて

尖圭コンジローマ治療薬のベセルナクリームは、塗った部位の自分の免疫力を高める効果があります。それによりウイルスの増殖を抑制したり、自分の免疫でウイルスに感染した皮膚の細胞を壊していくことにより、尖圭コンジローマに感染した細胞(イボ)を消失させる作用があります。

専門的にお伝えしますと、免疫の細胞(単球・樹状細胞)に働きかけて(TLR-7受容体)、インターフェロン等(INF-α、IL-12、TNF-αなど)のサイトカイン産生を促進します。
それにより、ウイルスの増殖を抑制したり、細胞性免疫応答(NK細胞、キラーT細胞など)を賦活化させることによりウイルス感染細胞を障害します(簡単に言うと、感染細胞を非自己と認識しアポトーシスさせるということです)。

使い方は絶対守って!

この薬は、“適正使用”が非常に大切です!

ベセルナクリームの作用からわかるように、塗った部分の自分の免疫を活性化させますので、少し赤く炎症を起こしたような状態になることがあります。
さらに、薬を塗ったコンジローマ部分のウイルス感染細胞が自分の免疫で破壊されていくので、人によっては副作用としてただれてしまうような状態になることがあります。

絶対に、患部以外には塗らないようにしてください。万一、塗り広がったり塗った指も含め他についた場合は、すぐに洗い流してください。
どんな薬もそうですが、薬の開発時に、効果と副作用を考えて成分量や回数を決めています。治療の際には、きちんと使って、きれいに治しましょう。

なお、副作用として、患部にびらんや、表皮がはがれたりることがあります。また、インフルエンザ様症状(関節の痛み、発熱など)がみられることもあります。薬を使っておかしいなと思うことがありましたら、すぐにかかりつけの医師や薬剤師に相談してくださいね。

使用方法と注意

ベセルナクリームの使い方は、1日おきに、1日1回。週3回、就寝前に患部のイボのみに、やさしくクリームが見えなくなるまですり込むようにします。

塗った後は、必ず手を石けんでよく洗ってください。また、塗った患部をガーゼや絆創膏のようなもので覆わないようにしてください。そして、6~10時間後を目安に洗い流します。例えば夜に薬を使ったら、朝の起床した時にシャワーで洗い流すようにします。

この薬は、量を増やしたり、つけている時間を長くしても効果はそれほど変わりませんが、ただれたりする副作用の発生確率が高くなります。
きちんと使用方法を守りましょう。

※ただれるなど刺激が強くみられた場合は、薬の量や時間を減らすのではなく、つける回数を減らす(週3回を2回にするなど)という方法をとる場合もあるようです。詳しくは、医師の指示に従ってください。

また、夜の寝る前に使う理由の1つには、トイレに行って患部を触ってしまうリスクを軽減することもあります(寝ぼけていて、薬がついた手で目をこすらないように注意しましょう)。

その他、この薬をつけて性行為によりパートナーに付着した場合は、パートナーにも副作用が現れることもあります。薬の使用時には性行為を避けるようにし、付着した場合すぐに洗い流してください。

なお、ベセルナクリームを適正使用して16週間を過ぎても効果が見られない場合は、医師の判断で他の治療法に変更になることがあります。詳しくは医師にご相談ください。

その他の注意

尖圭コンジローマの潜伏期間は約3週間~8ヶ月程度と言われており、感染後も症状はすぐにでてきません。また、治療には時間を要しますし、人によっては再発することもありますので、治療が終了するまできちんと受診してくださいね(女性は産婦人科など、男性は泌尿器科など)。

また、尖圭コンジローマを放置しておくと、生まれてきた赤ちゃんの性器や肛門、のどにイボができたりすることがあります。

さらに、原因ウイルスのヒロパピローマウイルス(HPV)には、尖圭コンジローマの原因となる低リスク型のほかに、子宮頸がんの原因になる高リスク型も知られています。女性の場合は、特に定期的に産婦人科を受診するなど、婦人科系のチェックも定期的にしておきましょうね。

*ネット上での診断・相談は診察ができないことから行えません。この記事は実際の薬局での会話をもとに構成したものです。相談が必要な方は、医師や薬剤師に実際にお聞きください。
【参考資料】
・メニュクマニュアル
【参考リンク先】
尖圭コンジローマ情報サイト(医療従事者向け)>持田製薬株式会社
日本性感染症学会(ガイドラインは販売のみのようで閲覧できません)
最近増えている性感染症 ?クラミジア?(AllAbout記事)
最近増えている性感染症 ?性器ヘルペス?(AllAbout記事)
最近増えている性感染症 ?淋病?(AllAbout記事)
最近増えている性感染症 ?カンジダ症?(AllAbout記事)
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