梅毒とは…近年増加傾向にある性感染症

女医

母子感染による先天性梅毒もほとんど見ることはありません

以前放送されたドラマ『仁』の中で、花魁が「梅毒」に感染しペニシリンによる治療で命が助かるというシーンがありました。昔は「性感染症といえば梅毒」というくらい代表的な病気でしたが、ペニシリンの登場により、現在では進行した梅毒はほとんどみられなくなりました。

しかしその一方で、厚生労働省の報告によると、2013年に1,228例、2014年に1,671例、2015年に2,697例と、報告数が増加傾向にあり、引き続き注意が必要です。

妊娠中に母体が梅毒に感染していると、赤ちゃんが先天性梅毒になる危険性がありますが、最近は妊娠初期に行う採血で必ず梅毒の感染の有無を調べるため、母子感染による先天性梅毒はほとんどみることはなくなりました。梅毒の原因や症状、治療法、予防法について解説します。

梅毒の原因

梅毒は、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum subspecies pallidum)という細菌による性行為感染症です。性行為によって、皮膚や粘膜の小さな傷から梅毒トレポネーマが侵入する事で感染します。傷から入った梅毒トレポネーマは、血液に乗って全身に広がり、皮膚や内臓に様々な症状を引き起こします。

梅毒の初期症状と経過

梅毒は第1期から第4期まで、感染からの時間とともに症状の出方が変化していきます。

■第1期
感染から約3週間後に、原因となる梅毒トレポネーマが侵入した局所に、小豆大~そら豆大の軟骨のようにコリコリしたしこりが出現します。これを初期硬結と言います。初期硬結はだんだん周囲に広がって硬くなり、中心に潰瘍ができて「硬性下疳(こうせいげかん)」と呼ばれるできものになります。いずれも痛みなどの自覚症状はありません。男性では陰茎、女性では小陰唇や大陰唇に発生することがほとんどです。

しこりができてしばらくすると、足の付け根のリンパ節が腫れてきますが、押さえても痛みがないのが特徴です。

これらの症状は放置しても2~3週間で自然に消えて、約3ヵ月後に第2期の症状が出るまで無症状となります。そのため、全く無症状で梅毒に感染した状態を保っている時期が存在することになります。

■第2期
梅毒トレポネーマが血液に乗って全身にばら撒かれた状態。感染から約3ヵ月後に、様々な性状の発疹が全身に出現します。

■第3期
感染から3年以上経って、皮下にゴム状の腫瘍ができてくることがあります。現在、第3期梅毒はほとんど見ることはありません。

■第4期
梅毒による血管の炎症や神経の障害による進行性の麻痺などが現れます。第4期梅毒も、現在ではほとんど見ることはありません。

梅毒の治療・予防法

ペニシリンの飲み薬又は点滴で治療します。先天性梅毒の場合も、ペニシリンの点滴を行います。

最も有効な予防法は、コンドームを毎回初めから正しく使うこと。梅毒に感染しているとHIVへの感染率が高くなり、またHIVに感染している人は梅毒にもかかりやすいため、どちらかへの感染が確認されたら必ずもう片方の検査もしておいた方がベターです。
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