植物も病気にかかる |
なお、多くの場合植物の病気と虫害を総称して「病害虫」と表記されることが多いのですが、ここでは植物の病気と虫によって起こりうる被害ということで「病虫害」としています。
植物の病気
うどん粉病は、風通しの悪いところで発生しやすい |
■カビなど糸状菌による病気
症状:白色や黒色などの斑点(病斑)が現れる。植物体が腐ってくる。
例:うどんこ病、褐斑病、黒星病、炭疽病、膏薬病、べと病、立枯病など
■バクテリア(細菌)による病気
症状:植物体に瘤、萎縮、軟化などが見られる。
例:軟腐病、根頭癌腫病、青枯れ病など
■ウイルスによる病気
症状:葉や花にモザイクのような模様が現れたり、矮化、奇形が出る。
例:モザイク病、えそ病などが
■線虫病
症状:瘤ができたり、根が腐ったりする。
例:根腐れ線虫病、葉枯れ線虫病、根瘤線虫病など
植物の虫害
食害をもたらす虫も多い |
■食害性の被害をもたらす虫
アオムシ、ケムシ、ヨトウムシ、コガネムシの幼虫、カミキリムシの幼虫などがある。
■吸汁性の被害をもたらす虫
アブラムシ、カイガラムシ、カメムシ、スリップス(アザミウマ)などがある。
病虫害の対策法
手軽なスプレー剤も取り扱いに注意! |
- 農薬を使う
- 特定農薬を使う
- 自然農薬を使う
- コンパニオン・プランツを使う
1.農薬
農薬は、主に病気に使う殺菌剤と虫害に使う殺虫剤とに大別されます。 殺菌剤は文字通り細菌やウイルスの殺菌に使われるわけですが、一旦細菌やウイルス病に感染すると完治は困難なため、一般的には予防薬として用いられます。なお、カビなど糸状菌に対しては、菌を殺す効果のある薬剤を用いることで防除することができます。
殺虫剤は、害をもたらす虫を殺処分する薬になります。薬剤が触れただけで効果があるもの、薬剤のついた植物を食べたときに効果の出るもの、薬剤の浸透した植物の汁を吸ったときに効果の出るものなどがあります。
農薬はさまざまな研究・試験を経て、用法・容量など一定の条件下における安全性が認められたものが認可を受けて市場に出ます。しかし、使用法を誤った場合、植物ばかりか人体にも毒となりうる危険なものであるとも言えます。注意書きをよく読み、万全の準備をして取り扱いましょう。最近は、家庭でも手軽に使えるスプレータイプのものが増えていますが、これも軽装で安易に使用することのないようにしたいものです。
2.特定農薬
テントウムシも特定農薬
ケミカルではない農薬というと、下記に述べる自然農薬などいろいろありますが、その安全性や効果について検討された結果、現在は殺虫や殺菌等の効果が確認された「地場で生息する天敵」と「重曹及び酢」のみが指定されています。
重曹や酢は食品にも使われるため安全性は高いと言えますが、これも大量に吸い込んだり目に入ったりすれば害となりえます。効果的に使用するためにも用法・用量は遵守しましょう。 薬効が認められる対象病害虫と使用量については、農林水産省HPの『特定防除資材(特定農薬)として指定された資材に関連する情報提供について』をご参照ください。
3.自然農薬
自然農薬とは化学合成された薬品ではなく、ハーブ等の植物エキス、木酢液、竹酢液など自然素材で作った農薬のことです。ただし、1と2のように農薬取締法で管理されたものはありませんので、その点で使用には注意が必要です。また、管理農薬のように劇的な効果が現れるものではない、ということもあらかじめ覚えておきましょう。具体的な自然農薬については、「自然農薬を使ってみよう!」をご参照ください(※記事内では、特定農薬についても含まれています)。
4.コンパニオン・プランツ
コンパニオン・プランツとは、種類の違う植物同士を近くに植えることによって病虫害の発生を防ぐ、生育が良くなる、食用植物の風味が増すなど、互いに良い影響を及ぼしあい共栄する植物のことを指します。農薬のような効果は期待できませんが、病気や虫による被害を防ぐ補助的な手段として覚えておきたいものです。 具体的なコンパニオン・プランツについては、「病害虫にコンパニオン・プランツ」をご参照ください。