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猫の去勢と避妊(2ページ目)

発情による猫のストレスやケンカ、スプレーなどの問題行動を減らすために、そして病気を防ぐためにも避妊・去勢手術は有効です。不妊手術方法や術後管理などについて紹介します。

岩田 麻美子

執筆者:岩田 麻美子

ネコガイド

不妊(避妊・去勢)手術のメリット

1.防げる病気がある
適切な時期に手術することで防げる病気がたくさんあります。我が家の大昔の反省例ですが、発情がほとんど来なくて、そのうち1回はお産をさせてみたいし、なんて気持ちで手術を先延ばしにしていたあかねちゃん。6歳の時に、乳腺腫瘍にかかってしまい片方の乳房を全摘。もっと早くに不妊手術していればこの病気に罹る確率はうんと低かったはず。

何回かお産を経験して、その後なぜかタイミングが悪くて手術が延び延びになってしまったANGEL。彼女の手術をお願いしたときには、卵巣膿腫ができかかっていました。本格的な病巣になる前に取り除けてラッキーでしたが一つ間違えば!の後悔例です。

メスの場合、不妊手術をすることで罹患する確率が下がる病気がたくさんあります。子宮蓄膿症などは、特に発情の前後に発病しやすい病気。発情している時は、精子を受け入れやすくするために身体の免疫機能が落ちています。いつもなら何の問題も起きないような雑菌やウイルスで感染、炎症を起こし子宮蓄膿症になるのです。これも手術して、発情がなければ、かかりにくい病気といえます。不妊手術には卵巣だけを摘出、卵巣と子宮を摘出という手術方法があります。卵巣と子宮を摘出してしまえば、当然、卵巣や子宮に関係する病気にはかかりません。オスの場合は甲状腺の病気にかかりにくくなるといわれています。

手術によって防げる病気には以下のようなものがあります。

■メス
子宮蓄膿症、子宮内膜炎、子宮ガン、卵巣ガン、乳腺腫瘍、乳腺炎、乳ガンなど

■オス
睾丸腫瘍、前立腺肥大、精巣上体腫瘍、肛門周囲腺腫、セルトリ細胞種など

2.問題行動が減る
性成熟度が高まると増えるオス猫の問題行動のひとつが、トイレ以外の場所で尾をあげて、いつものオシッコよりずっとニオイのきついスプレーと呼ばれる尿を飛ばしてかけまわるマーキング行動。メス猫にも同じようにスプレーをしたり、いつもと違う場所でウンチをする子がいます。

外出自由のオス猫であれば、メス猫を求めて遠くまで行って家に帰れなくなったり、注意力が散漫になって交通事故に遭うことが多くなります。メス猫を巡って喧嘩をし、大けがを負ったり、噛み傷から治癒不可能なウイルス性の病気(猫白血病や猫エイズなど)に罹ったりする可能性も。

不妊手術を行えば、全ての猫のこのような問題行動がおさまるとは限りませんが、スプレー行為をされても、くさくてキツイ臭いは軽減しますし、外に出てもメス猫を探すために遠くまで行きたいという欲求がなくなる、そしてメス猫を巡っての闘争本能が減るので事故やケガに遭う可能性が少なくなります。

3.発情によるストレス回避
オス猫は周りに発情中のメス猫の臭いを感じると本能のおもむくまま、食事を取らなくなり、鳴き叫んだりし続けます。メス猫は発情がくれば、鳴き、身もだえ、食欲をなくします。発情がキツイ子は、1週間から10日間鳴き続け、2~3週間後には、また発情を繰り返します。

性衝動は本能の欲求ですから、誰が何をしてもそれをなだめることはできません。満たされない欲求は大きなストレスに違いありません。そんなストレスから解放してあげることができる。これも考えようによっては大きなメリットではないでしょうか?

不妊手術をしないことのメリット

いろいろ考えてみましたが、オス猫もメス猫も手術をしない方が良い理由はあまりないように思えます。ただ、どんなに経験豊かな先生が健康体の猫を手術したとしても、手術は手術ですから、一番のデメリットは危険性がゼロではないといったことくらいでしょうか? もちろん不妊手術をしなければ、妊娠が可能です。

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