/猫のしつけ・ケア

野良猫の迷惑と地域猫の考え方(3ページ目)

飼い主のいない猫が増えることで起こる迷惑を減らすために、猫の不妊・去勢手術を行い地域で猫と共生していく地域猫化活動やエサやりのルールとマナーを紹介します。

岩田 麻美子

執筆者:岩田 麻美子

ネコガイド

地域猫という考え方

すべては猫の数が多くなりすぎると表面化してくるトラブルです。まずはこれ以上猫の数を増やさないことが第一です。猫が好きな人は猫が苦しむ姿を見ることが減り、猫が嫌いな人は猫の数が減ることで苦情が少なくなる、双方の願いはある部分では同じです。

ここで登場したのが「地域猫」という考え方です。地域猫運動は、1997年に横浜市磯子区で始まったホームレス猫防止対策事業からスタートしました。行政がはじめて飼い主のいない猫の対策に乗り出したのがこの横浜市磯子区で、1999年3月10日に出された『磯子区猫の飼育ガイドライン』の中で「今飼育している猫がホームレス化しないようにする一方、現在地域に住み着いて人からエサをもらって生活している飼い主のいない猫を、地域住民が適切な飼育を行い管理することによって『地域猫』と位置付け、飼育責任の所在が明らかな猫へと移行させていき、その結果としてホームレス猫の減少を図る」という文章の中で地域猫という言葉がはじめて明文化されました。その後東京都でも2001年から2003年まで10地区で、「飼い主のいない猫との共生モデルプラン」を実施しました。

地域猫の考え方はとてもシンプルです。これ以上飼い主のいない猫を増やさないことで猫による迷惑を減らしていこう。そのために飼い主のいない猫を捕獲して、避妊・去勢手術を行い、手術済みであるという印を猫の耳に付け、元の場所に放し、その猫の生涯を地域住民みんなで見守って行こうというものです。交通事故や病気など、様々な危険と隣り合わせている飼い主のいない猫の寿命は平均して4~6年。今日やったから明日解決するというものではありませんが、徐々に猫は減り、猫が減れば猫による迷惑も減っていきます。

この運動の一番の狙いは、地域が一丸となって猫トラブルに取り組むという姿勢です。好きな人だけが面倒をみるのではなく、嫌いな人も迷惑だと思っている人も、同じ地域の住民として同じ場所に住む猫を受け入れ、共生していくという考え方です。そしてこれには現在猫を飼っている人も、飼い主としての自覚と責任を持って適正管理することも含まれます。地域猫化活動は猫が対象ですが、自分たちが住んでいる地域(街)を美しい住みよい場所にしていこうとする環境活動のひとつです。

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