首都圏では3分の1の路線で
毎日のように電車遅延が発生している!
ほぼ毎日電車遅延は発生している
たとえば東急東横線は横浜方面ではみなとみらい線、都心方面以遠では東京メトロ副都心線を介して西武池袋線、東武東上線などと繋がっており、埼玉で起きた事故の影響で横浜方面で遅延が発生あるいはその逆などが起きるようになっています。
実際、国土交通省の遅延対策ワーキング・グループの報告資料では「突発的遅延の原因となる輸送障害(事故以外の原因で30分以上の遅れが発生したもの等)は近年増加傾向にある」としています。
その原因については「部外(動物の侵入、線路立ち入り等、事業者以外に原因のある遅延)と災害(風水害、雪害、地震)を原因とするものが増加している」とのこと。続けて「ただし、部外原因のうち最も数の多い自殺についてはほぼ横ばいである」とも。
また、部外要因のうちでは「混雑、混雑を背景としたドア挟み(計34%)、他社線影響(21%)、急病人(12%)、線路支障(落とし物等)と言ったものが多いとのこと。近年、数字としては混雑率は下がってきていることになってはいるものの、それでも混雑が続き、そこに急いで乗車しようとして荷物をドアに挟む、混雑で気分が悪くなるなどのトラブルが遅延を発生させていると言えるわけです。
そのため、電車遅延はほぼ毎日発生しているというのが現状。同報告書によると平日の3分の2以上の日で遅延が発生している路線は調査対象となった全51路線中16路線、なんと3割近くもあるという結果になっています。
日本の鉄道運行の正確さは世界に誇るほどのものでしたが、現状は日常的に混雑によって少しずつ遅れるようになってきているのです。
JR東日本、東京メトロ、
東京都交通局の一部が3大遅延発生路線
そのうちでも電車遅延発生が多いのはJR東日本、東京メトロ、東京都交通局の3事業者です。JR東日本については混雑度も高いことから分かるように、混雑する路線ほど遅延しやすいのです。同報告書では首都圏11事業者51路線の平成25年11月の平日20日間の遅延証明書(遅延5分以上で発行)の発行状況を調べていますが、もっとも高い山手線では20日のうち、18日で遅延証明書が発行されており、発行割合は実に90%。ほぼ遅れると思って良いわけです。
ただ、山手線のように頻発されている列車であれば予定していた列車に乗れなくても次発がすぐに来るため、実際にこれで遅刻をするという事態はそれほど多くはありません。
JR東日本で遅延が多い路線は?
線名 日数 発行割合山手線(全線) 18日 90%
京浜東北線・根岸線(大宮~大船) 17日 85%
中央快速線・中央本線(東京~甲府) 17日 85%
横須賀線・総武快速線(大船~東京~稲毛) 17日 85%
宇都宮線・高崎線(上野~那須塩原・神保原) 17日 85%
東海道線(東京~湯河原) 16日 80%
中央・総武線各駅停車(三鷹~千葉) 16日 80%
埼京線・川越線(大崎~新宿~武蔵高萩) 16日 80%
常磐線各駅停車(綾瀬~取手) 13日 65%
*時間帯は朝7時~11時まで。
東京メトロも電車遅延が多い!半蔵門線は100%
半蔵門線は遅延が多い
ちなみにこれ以外の銀座線、丸ノ内線、日比谷線は遅延証明書発行日数がいずれも9日、発行割合は45%となっており、半分以下という成績です。
また、都営地下鉄は三田線(75%)が高いものの、それ以外は浅草線(25%)、新宿線(30%)、大江戸線(20%)などとなっており、全体としてみるとそれほど高いわけではありません。
東京メトロで遅延が多い路線は?
線名 日数 発行割合半蔵門線 20日 100%
千代田線 19日 95%
南北線 17日 85%
東西線 15日 75%
副都心線 14日 70%
*時間帯は朝7時~10時まで。
私鉄で遅延が発生しやすいのは東急田園都市線
ただし、20分超の遅れは無し!
私鉄で遅延が発生しやすいのは東急田園都市線
これに次ぐ路線としては西武池袋線、東武東上線が9日、45%、西武新宿線、京王線が8日、40%、東武伊勢崎線、小田急線、東急東横線で7日、35%というところです。
*時価帯は東武線が朝7時~9時、西武線が初電から9時、京王線、小田急線、東急線が初電から10時。
ただ、それでも私鉄の場合、遅延が会社に遅刻する、予定をキャンセルせざるを得ないなど大きなトラブルに繋がりやすいのは「迂回路線がない」ため。1本遅れても次がすぐ来る山手線では遅延が常態となっていても気づきませんし、都心部では地下鉄その他の路線が利用できる場所も少なくありません。遅れているとなったら、他路線へという行動がとれるのです。しかし、郊外から都心に向かう私鉄路線では利用できる他路線がない場合も。となると、少しの遅れにイライラすることになるわけです。
もうひとつ、どの程度の遅延が発生するかという問題もありますが、これは基本遅延発生頻度の高いところほど、長い遅延も発生しやすいことになります。ただ、東京メトロ丸ノ内線、東急田園都市線では20分を超す遅延は発生しておらず、また、東京メトロ銀座線、東急大井町線では10分を超す遅延も出ていません。
営業キロ数、列車本数から見た遅延の発生度合というデータもあり、それで見ると東京メトロ副都心線、同半蔵門線、同南北線がワースト3となっています。
自然災害に強い!通勤時間短縮できるのは銀座線、丸ノ内線
地上から浅い場所にホームがある銀座線。ただ、沿線に住むとすると予算がかなり必要かも
ダントツに強いのは銀座線。そしてもうひとつが丸ノ内線です。というのは、この2路線は他路線と乗入れをしておらず、他路線の影響を受けないため。特に銀座線は渋谷のごく一部区間を除いてすべて地下を走っていることから、外部の自然の影響がありません。そのため、大雪で都内の交通がほぼすべてが麻痺するような場合にも銀座線だけは動いていることが多いのです。
もうひとつ、この2路線のメリットは地上から浅いところにホームがあること。都心部では限られた地域に複数の地下鉄が敷設されており、当然、路線が重なるところもあります。となると、新しい地下鉄ほど地下深くに作られることになり、ホームは遠くなります。たとえば都営大江戸線の六本木駅内回りホームは地下10階、外回りは地下8階。登る階段の数も半端ではありません。
それに比べると日本最古の地下鉄銀座線の浅いこと。また、丸ノ内線は茗荷谷駅など一部で駅が地上にあることからも分かるように、これまた浅い場所にあります。当然、電車を降りてから改札を出るまでの時間もさほどかかりません。ほんのちょっとのことですが、通勤もラクになります。通勤最優先で考えるなら、この2路線は強い路線と言えるわけです。
いかがでしたか?混雑率、座れる可能性、終電の遅さ、遅延の少なさなど……様々な条件から、通勤に楽な沿線・駅を探してみてはいかがでしょうか?
*2007年の記事に2012年、2015年、2016年に加筆、修正。2017年に混雑度を加筆、修正。
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