横浜には、中華街や山下公園、ハマトラ発祥の地元町、洋館の建ち並ぶ山手、港の見える丘公園など、全国的に知られる名所が数多くあります。その中でも憧れの場所といえば、県内屈指のお屋敷街山手。ここでは山手と、そのお隣、元町を中心に取り上げます。
【今回取りあげるのはこのエリア】
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2つの駅の間を元町商店街がつなぎ、その背後に山手の住宅街が。 |
歴史の残る風致地区、山手は
ゆったりしたお屋敷が並ぶ住宅街
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外国人が居住するエリア、居留地内には現地と同じような街並みが作られ、今に残っている。 |
横浜中心部は、1859年の開港以降、為政者が設置した日本人エリア、外国人エリアに分けることができます。外国人エリアは中華街から日本大通りまでの山下(関内)エリアと現在も洋館の並ぶ山手エリアの2つ。日本大通りから住吉町、相生町方面は日本人エリアです。
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山手本通り沿いに広がる住宅街。高台で眺望がよく、区画はゆったり。 |
この外国人エリアのうちでも欧米人が多く住み、独特の街並みを作っていたのが山手。住宅はもちろん、病院、学校や教会などが点在、今もそのたたずまいを残しています。山手町は風致地区に指定されており、容積率はもちろん、道路から建物の距離など厳しい基準が設けられています。そのため、歴史的な建造物と平均して2台分以上の車庫を持つ、ゆったりしたお屋敷が中心のエリアになっています。
さて、洋館、お屋敷を除いて、山手に多いもの。まずは「日本初」。例えば日本初の西洋式公園、山手公園。ただし、ここは外国人専用の公園で、日本人が利用できた最初の公園は横浜公園。ここでは日本初の国際親善野球大会が開かれています。スポーツではテニス、プールもこの地から。意外なところでは、キャベツやトマト、セロリや玉ねぎなどの西洋野菜も最初は山手で栽培され、やがて日本全国に広がっていったのだそうです。
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独自の教育方針や進学率などで有名な女子校も多い。 |
続いて目に付くのはインターナショナルスクール2校を含む学校。日本で最初の女学校であるフェリス女学院をはじめ、山手町内には女子校が5校もあり、登下校の時間には街中で制服姿をみかけます。また、日本最古のカトリック教会、カトリック山手教会など教会も8つ。幼稚園を併設している教会も多く、教育熱心な家庭には恵まれた地域と言えるかもしれません。
逆にほとんどないのが、コンビニに自動販売機、公衆電話など。スーパーや個人商店もありません。洋館を利用したカフェやレストランはありますが、蕎麦屋さんやラーメン屋さんといった、どこの街にもありそうな飲食店はありません。純粋に住むための街というわけです。
女性客に人気の元町商店街は
ベンチに街灯、散策が楽しい街並み
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セール時は通勤電車並みの混雑になるという元町商店街。 |
その山手から汐汲坂、代官坂など急な坂を下りたところが元町。メインストリートは宝飾店やブティックなどが並び、1年中人出の絶えない商店街です。元々は関内エリアで農漁業を営んでいた住民が幕府の命で移転させられたのが発祥ですが、居留地の外国人相手にノウハウを積み、明治時代にはすでに横文字の目立つ商店街を形成。浮沈はあったものの、今では全国から買い物客が集まるスポットとなっています。
元町では2004年1月に改修が行われ、バリアフリーで歩きやすい歩道、分かりやすいインフォメーションサインやところどころに設けられたベンチなどで、よりお買い物しやすい雰囲気に。最近では従来からある店に加え、陶芸ショップやブランド物などのリサイクルショップ、古着屋さんなども増えているようです。
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元町で食料品を買うといえば、ここ、元町ユニオン。 |
ただし、生活のための店は少数。スーパーや輸入食品店、精肉店、ベーカリーなどはありますが、価格はいくぶん高めです。
みなとみらい線開通で
利便性、注目度もアップ
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横浜からみなとみらいを通り、元町・中華街までをつなぐみなとみらい線。 |
さて、以前から人気のこのエリアに改めて注目が集まったのは2004年1月のみなとみらい線の開通。これによって、渋谷と山手、元町の最寄駅である元町・中華街は約35分(特急利用)でつながれ、これまでの最寄駅、JR根岸線石川町駅と合わせて、都心へ2方向からアプローチできるようになりました。根岸線は京浜東北線経由で品川、新橋、東京、秋葉原といった主要オフィス街にアクセスしていますから、2駅を使い分ければ、どこに行くにも便利。加えて、首都高速の石川町、横浜公園をはじめ、周辺には利用できるインターも多く、車利用も便利な街なのです。
では、気になる住宅の相場はどうなっているか、次ページで見ていきましょう。