低栄養は自分には関係ないと思っていませんか? 低栄養は病気になりやすくなったり、元気がなくなったり、メンタル・認知の面での不調を引き起こしたりします。今回は、低栄養の見分け方と改善方法について説明します。

高齢者は低カロリーで大丈夫? 意外と知らない低栄養

■ 低栄養の知識テスト
まずは下の5つの質問に○か×で答えて下さい。

1. 若い人の方が65歳の人よりたんぱく質・カロリーが多く必要
2. 肉・卵・牛乳はビタミンとミネラルが豊富でない
3. 物忘れや疲れやすいのは年のせいで食事のせいではない
4. 年をとると背が低くなるのは当たり前で仕方がない
5. 年をとると歯が抜けるのは当たり前で仕方がない

答えは全て×です。1つでも間違ったらあなたは低栄養の可能性、または低栄養になる可能性があります。それでは1つずつ解説していきましょう。最後に低栄養にならない食べ方を紹介します。

1. 若い人の方が65歳の人よりたんぱく質・カロリーが多く必要
⇒ 【答え ×】
高齢者の方が効率的にたんぱく質を体内で使えないので、若い人より多くのたんぱく質が必要だと考えられるようになってきました。一般的な成人では体重1キロ当たり必要なたんぱく質は0.8gだと言われていますが、高齢者では1g必要だと示唆されています。また、代謝が落ちてくるからあまりカロリーが必要でないと思われがちですが、必要なカロリーも大して減少しないことが分かってきています。健常な高齢者の場合、一日のカロリー目安量は男性で2200キロカロリー、女性で1700キロカロリー。60~70歳を超えると、ある程度しっかりした体つきのほうが長生きするというデータも多く出ています。やたらたくさん食べて肥満になる必要はありませんが、体重が落ちないようにしっかり食べることは大切です。

2. 肉・卵・牛乳はビタミンとミネラルが豊富でない
⇒ 【答え ×】

肉・魚・卵・牛乳などの動物性食品には豊富なビタミンとミネラルが含まれています。ビタミンやミネラルは野菜や果物だけに含まれると誤解されがちなので注意して下さい。肉・魚・卵・牛乳には、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB12、パントテン酸、ビタミンA、カルシウム、鉄分などが多く含まれます。野菜や果物にはビタミンCやカリウムが多く含まれます。どちらのビタミン・ミネラルもとても大切な栄養素です。よって肉を避けたり、牛乳を全く飲まなかったりすると、ビタミン・ミネラルが不足する可能性が大変高くなります。

3. 物忘れや疲れやすいのは年のせいで食事のせいではない]
⇒ 【答え ×】
ビタミンB6やビタミンB12は神経作用に欠かせません。欠乏すると記憶力低下やうつ病に関連するといわれています。これらのビタミンは加齢による胃酸の低下、吸収不良などにより高齢者では不足する可能性があります。ビタミンB6やビタミンB12は肉、卵、牛乳などの動物性食品に多く含まれます。また、鉄分・カロリー・たんぱく質が不足すると疲れやすくなります。鉄分・カロリー・たんぱく質も動物性食品に多く含まれます。加齢による部分もありますが食事も大切です。

4. 年をとると背が低くなるのは当たり前で仕方がない
⇒ 【答え ×】
加齢により背骨の間のクッションがすり減って背が低くなりますが、骨粗しょう症で骨が潰れ、進行すると背が縮んだり背中が丸くなったりします。背が低くなるのは、加齢的な要素もありますが栄養素不足による骨粗しょう症である可能性もあります。30歳を過ぎたころからは、食事でカルシウムを摂取しても骨の密度を増やすことはできませんが、骨密度の低下を遅らせることができると考えられています。カルシウムはチーズやヨーグルトなどの乳製品に豊富に含まれます。骨折で寝たきりになったり、活動が限定されてしまうと深刻な低栄養に陥りやすくなります。

5. 年をとると歯が抜けるのは当たり前で仕方がない
⇒ 【答え ×】
歯は加齢により自然に抜けるものではなく、歯茎の管理不足による歯周病によるものです。カルシウムが不足すれば骨粗しょう症、カロリー不足で低体重と同じように、歯茎のメンテナンスをしなければ歯が抜けます。いうまでも無く、歯が無かったり、入れ歯がきちんと合わないと肉などの硬い物が食べにくくなります。歯周病の予防・管理をしていない人は今すぐにでも歯科医に見てもらいましょう。口の中の健康管理は高齢者の低栄養予防の第一歩です。

低栄養を予防・改善する食べ方

おいしそう

何でも適量楽しむのがコツ。「おいしそう」と思う刺激も大事。

日本人の寿命は延びています。昔ながらのいわゆる「粗食」では対応できない部分も出てきています。しっかり楽しく食べましょう!

■食事は抜かずに1日3回食べる

食事を抜くとカロリー、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維などが不足しやすくなります。

 

■毎回の食事にたんぱく質が豊富な食材を少量でも2品
【たんぱく質が豊富な食べ物】肉、ハム、ウインナー、魚、ツナ缶など缶詰、練り物、卵、チーズ、ヨーグルト、牛乳、豆乳、豆腐、おから、納豆、枝豆、大豆、豆製品、ピーナツバターなど。難しい場合は間食でたんぱく質が多いものを食べる。

■水分摂取を忘れずに
脱水は意識障害にまで発展することがあります。牛乳、豆乳、ジュース、野菜ジュース、お茶、お水など何でもよいので、水分不足になりやすい人は時間を決めて飲むようにしましょう。

■野菜、果物、きのこ、豆などもしっかり食べよう
野菜、果物、きのこ、豆などには食物繊維が豊富に含まれます。便秘になると食欲が落ちやすくなるので、食物繊維もしっかり摂りましょう。便の8割近くは水分なので、十分な水分摂取が必要です。

※食事療法を行っている人は、通われている病院の管理栄養士に相談して下さい。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。