サヨナラも言わずに

ここで予想もしなかったことが起きました。いきなりKが退職してしまったのです。電話をかけた水川さんは困惑し、思わず受話器の前で呆然となりました。

「すみません、Kさんはいつ辞められたのですか? うちの支払いがまだ終わってないのですが……。引き継ぎの方は、おられますか?」
ところが、引き継ぎは特に決まっておらず、Kがどんな案件を抱えていたのかも社内で理解していないのだという。水川さんは、思わず怒鳴った。

「いい加減にして下さい。こちらは、内容証明をつけて請求書をお送りしているんです。払ってくださらなければ出るとこ出ましょうよ!」

水川さんの言葉に、慌てて経理担当者がでてきた。今月に処理をするから、もう一度だけその分の請求書を送って欲しいという。これでもう何回目だろうと、水川さんは呆れながらも受話器を置きました。

後日、支払い指定日に、残っていた報酬全額が振込まれていました。しかし、水川さんの気持は晴れないままです。

「Kは、いつも私に向かって『主婦は考え方が甘い』だの『気楽でいいね』など説教をしていました。でもビジネスの基本をわかっていないのは、自分なんじゃないの? と言ってやりたい。あれだけ無理やりな仕事も誠心誠意こなしてきたのに、挨拶もなしに辞めるなんて人間として間違っていると思います。」

金銭トラブルは、ビジネスはもちろん、人としての信頼関係までも壊してしまいます。もちろん自衛は大切ですが、水川さんのように「信じた人だから仕事をしたのに」というケースもあると思います。人間関係を崩壊させないためにも、ビジネスとしての取り決めは行う必要があります。

皆さんも、「口約束で仕事をしている」「契約書を交わさない」「支払いサイトを確認していない」なんてことはありませんか? 契約書はいただけなくても、注文書や請書、発注書など何らかの書面を交わすことをおすすめします。


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