企業選びは今の派遣先を基準にしない
このような対策を講じてもなお、現下の厳しい雇用情勢で正社員になるのは簡単ではありません。正社員になるためには、雇用情勢が回復するのを待つか、採用されるまで応募するしかありません。就職活動のとき学生は50社、100社とエントリーします。リーマン・ショック以後の1、2年は200社エントリーする学生もいるほど。業務経験やスキルによる比較がほとんどできない新卒でも、これだけ応募して就職していることを考えると、派遣スタッフから正社員になるためには相当な頑張りが必要です。「派遣の正社員転職をはばむ3つの壁」でも書いたように、今の派遣先を基準に応募先を選ぶと苦戦することが多いです。企業の知名度や仕事内容、勤務地や通勤時間など、緩和できる条件を順次外していきましょう。年商15億円ほどの中小企業の中にも、黒字経営を続けている優良企業があります。従業員数が少ない会社では、決められた仕事だけというわけにはいかず、何でも屋のように働かなければならいないかもしれない。けれども、相性がよければ、長く働き続けることができます。
成功の秘訣は得たいキャリアを明確にすること
派遣スタッフは様々な職場を経験しています。相性のいい職場や人間関係を見抜く判断力は高いはず。面接時に職場をみせてもらうなどして、自分に合っている企業を探しましょう。転職で、自分にとって都合のよい希望だけを実現することはできません。正社員になるには健全な覚悟も努力もいる。「なぜ正社員になりたいのか」「何は捨てることができ、何は譲れないのか」をはっきりさせることが、正社員転職への最初の一歩です。
このように自分にとっての優先順位をはっきりさせた結果、「正社員にならずに派遣を続ける」「役割が明確な契約社員として働いていきたい」など、正社員以外の選択をすることも十分ありえると思います。
そして、もし正社員になりたいと思った場合は、今回のコラムが少しでも参考になれば幸いです。
正社員転職のヒントをまとめるために、リクナビNEXTの転職カウンセラー門野友彦氏にご協力いただきました。リクナビNEXTの「Dr.門野の転活相談 あなたが受からない理由、診断します」には、派遣スタッフからの相談ものっています。こちらも参考にしてくださいね。