派遣で働く/派遣会社の選び方

意外と知らない「派遣会社」の選び方(2ページ目)

今や派遣スタッフの多くが複数の派遣会社を併用して、効率的な仕事探しをしています。いい派遣先があれば、派遣会社も移る。しかしそこにはデメリットも潜んでいるのです。これまであまり語られてこなかった派遣会社の選び方についてまとめました。

中村 天江

執筆者:中村 天江

派遣で働くガイド


いい派遣会社を探すには?

日々の仕事は派遣先でも、派遣スタッフの雇用主は派遣会社

日々の仕事は派遣先でも、派遣スタッフの雇用主は派遣会社

派遣スタッフの場合、日々の仕事は派遣先で行いますが、法的な雇用主は派遣会社になります。求職活動時に複数の派遣会社に登録することができても、ダブルワークをしない限り、仕事を始めたら雇用主は1社。雇用される側にとって、多少の景気変動では賃金の遅配や業績不振による整理解雇に陥らない経営基盤があるかはとても重要です。それに経営基盤がしっかりしている派遣会社の方が、福利厚生や研修制度も充実しています。

また、派遣スタッフにまったく落ち度がなくても派遣先の事情で突然、派遣契約が解除になることがあります(突然の事業撤退など)。たくさんの仕事を持ち、すぐに次の派遣先を探してくれる派遣会社だったら、路頭に迷う心配をしなくてすむ。派遣会社のサイトで求人を検索してみれば、希望の案件をどの程度もっている派遣会社か傾向がつかめるでしょう。あまり仕事が公開されていない場合は、まず派遣会社に登録し仕事紹介メールなどをチェックしてみたり、営業やコーディネーターに聞いてみてください。

このような派遣会社の経営状況や案件数、紹介時の対応を知るには、株価の推移やIR情報もありますが、何よりも派遣スタッフ同士の口コミや評判があなどれません。いくつもの職場を経験している派遣スタッフの評価はそれなりに信憑性があるからです。ただしこの場合は複数人の評判を確認してくださいね。

安易な「派遣会社ホッピング」に注意!

派遣スタッフのなかには、「販売から営業に移りたい」「今は一般事務だけれど、いずれ英文事務につきたい」など、スキルアップの目標がある人もいると思います。こんな人は派遣会社をキャリア形成のパートナーとして活用するといいでしょう。

登録したばかりで、派遣会社のコーディネーターや営業とやりとりがない状態では、派遣会社にあなたの希望を十分に伝えることができません。仮に伝えることができても、数多くの登録者のなかであなたの希望を優先してくれる保証はないのです。派遣会社からすれば、すでに仕事を通じて高い評価を得ているスタッフを応援したくなるのも本音でしょう。

実際、ある調査によれば(出所:一橋大学・島貫智行「事務系派遣労働者のキャリア類型と仕事・スキル・賃金の関係」)、派遣会社を移る派遣スタッフよりも派遣会社を固定している派遣スタッフの方が、仕事の難易度やスキル、賃金の上昇率が高い傾向にあることがわかっています(下表)。この傾向は、派遣会社だけでなく派遣先も同じ派遣スタッフの方がさらに高くなります。
仕事や賃金、能力開発と派遣会社変更の関係を調査した結果、派遣会社を固定している派遣スタッフの方が満足度は高い。

仕事や賃金、能力開発と派遣会社変更の関係を調査した結果、派遣会社を固定している派遣スタッフの方が満足度は高い

また将来、正社員への転職を考えている場合は、仕事選びの段階で職務経歴書をイメージしておくことも有効です。企業は正社員の採用では、「すぐに辞めたりせず、長く活躍してくれる人材か」を重視します。派遣スタッフは、さまざまな職場を通じてスキルアアップできる一方で、ともすれば、短期間にあれこれ仕事を変えたようにも見えてしまいがち。派遣先を選ぶときに、キャリアに一貫性ができるよう心がけましょう。

次のページでは、派遣会社をキャリア形成のパートナーととらえることについてまとめています。
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