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地頭力とは?意味と鍛えることでのメリット

なぜいま「地頭力」を鍛えることがビジネスマンの必須スキルとして必要とされているのか?既存の公式やフレームワークを応用するのではなく、問題解決に向けて自分の思考で物事の根本に近づく力、そういった地頭力とは何かを手早く理解できるよう解説

執筆者:大石 哲之

話題のキーワードとなった、地頭力とは?

地頭力が問われるビジネス

地頭力と書いて「じあたまりょく」と読む。コンサルタントだけでなくハイパフォーマンスなビジネスマンにとって必須の能力である。

「地頭力」という言葉を知っていますか?地頭力と書いて、「じあたまりょく」と読みます。
いま、ビジネススキル系の言葉の中で、もっともホットなキーワードになっているのが「地頭力」です。「地頭力を鍛える」という本がベストセラーになったり、先日は一般的な経済誌で「地頭力」についての特集が組まれました。

地頭力、地頭力、といわれても一体なんのことか分からないと思います。どうして、地頭力が必要とされているのか?地頭力とはいったい何なのか?今回は地頭力についての解説です。

■地頭力とは  
 

地頭力の定義はあるか?

地頭力といっても、何か確固たる定義があるのではなく、様々なビジネスのプロフェッショナルが独自の言い回しで「地頭力」を表現しています。すこし各人の意見を見てみますと、
 

仕事を深堀していく能力のこと(リヴァンプ澤田氏)

問題解決に必要となる考え方のベースとなる能力(ザカティーコンサルティング細谷氏)

知識がなくても自分の頭で回答にいたる筋道を考えていける人(大前研一氏)

素手で考える力。知識も方法論もあらゆる引きを持たずにゼロベースで考える力のこと(高橋俊介氏)


※「週刊東洋経済」の各記事より筆者要約

どの方も表現は違うものの、言わんとしていることは近いように思います。しかし、世間で言う地頭力というのは、必ずしも上記のように捉えられているわけではなさそうです。
 

地頭力はいくつフレームワークを知っているかの応用力ではない

「地頭力」というのは、まだまだ曖昧なワードであるといえます。いろいろな人が様々な解釈で「地頭力」と捉えている節があります。実は、こんな例がありました。地頭力とは対極の思考を「地頭力」と捉えてしまっていた例です。

『地頭力とは、いろいろなツールやフレームワークをうまく応用できる力のことかと思っています。ロジカルシンキングやMBAなどを学んでも現実にうまく応用・適用できるひとってすくないですよね?どうやったらそのような能力を伸ばすことができますか?うまく当てはめるようになれますか?』

私は、

『いや、全く反対です。あたなの言っている地頭力は、私が考えているものとは、正反対ですよ。既知のツールやフレームワークをそのまま持ち出したら、それは地頭力ではありません。地頭力の反対を行くものです。地頭力というのは、既知のツールやフレームワークがない課題に対しても、自分でツールやフレームワークを作ってしまうような考え方ができることです』

と答えました。そうして地頭力がある人によって編み出されたフレームワークなどが、定番ツールとして、世の中に定着するのです。
 

教育における地頭力とは公式を知らなくても自分の頭で思考できる

数学や物理の世界での話にしてみるともう少し分かりやすいかもしれません。公式や定理ってありますよね。それを使えば、ある一定の問題に対してはズバリの解答が得られる。それが、いわゆるビジネスにおいても問題解決のツールだったり、フレームワークといったりします。

地頭力がある人というのは、公式や定理を応用するのがうまい人ではなく、新しい公式や定理を考え出すほうの人なのです。例えば、

「あるボールを投げたとき、どのくらい飛ぶか?」

という問題があったとします。高校の物理の問題です。これに対して、飛距離の公式を当てはめて、「これが回答です」というやり方が、フレームワーク当てはめ志向。公式を知っていれば直ぐに答えがでますが、逆に言えば、知らないとお手上げです。

一方の地頭力がある思考というのは違います。公式を知らなくても、極々シンプルな少数の基本物理原則だけを使う。それを組み合わせて、自分の頭で推論することで、公式自体を自分で見つけてしまいます。

このような思考が出来る人は、応用力も抜群です。飛距離ではなく、これが速度やボールの衝突時の力といった話になっても、考え抜いてしまいます。3次元空間でなく、4次元だったらどうか?と聞かれても応用力があるでしょう。
 

ビジネスにおける地頭力とは既存の方法論を使わず本質に近づく

私は、ビジネスにおける地頭力も、この数学や物理の話と同じものではないかと考えています。過去の成功体験や、前例を元に、ビジネス判断をしていくといのが、「公式思考」だとすると、前例にとらわれず、物事の本質を捉え、少数の基本原則(常識)だけを元に、ゼロから解決のフレームワークを考えていく、というのが「地頭思考」です。

一方で、日本の学校では、たくさんの公式を覚えて、それをいかに早く当てはめることができるかを「優秀」と定義し、その能力を伸ばしたり、選抜したりする教育がなされているように思います。前例があり、答えが見えていて、それをすばやく正確に得ることが求められた時代にはこの方法がベストでした。

しかし、欧米へのキャッチアップではなく、前例がなく、新しい時代を開拓していかないといけないこれからの日本人は、自分の頭でかんがえ、新しい概念や公式を作り出す力が求められていると考えます。ということで、最後にまとめとして私の「地頭力」の定義を書くと、

「既存の知識や方法論を使わず、たとえ知識の全く無い未知の分野であっても、自分の頭と常識だけを頼りに、自分なりの切り口や捉え方で、物事の本質や問題の根本に近づくことが出来る人」

としたいと思います。

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