八向志保マネージャーのプロ意識とは |
女性でコンサルに興味がある方や、コンサルタントへの転職を考えている方は参考にしてみてはいかがでしょうか?
【八向志保さん プロフィール】
前職の外資系ソフトウェアベンダーを経て、NTTデータビジネスコンサルティングに入社。業務改革プロジェクトにおける業務基本構想・業務設計・システム設計、「見える化」、業務分析・業務評価の分野のプロフェッショナルとして活躍中。
現在では生産物流業務改革プロジェクトにて、生産・物流・需給調整の領域における業務設計と評価の仕組みの構築を担当している。
「甦るIT投資」(NTTデータビジネスコンサルティング編著)の執筆にも携わる。
経営者視点で仕事をしたい
-現職のNTTデータビジネスコンサルティングに至るまでのご経歴を簡単にお願いします
早稲田大学教育学部で心理学を専攻していました。心理学の勉強自体はとても面白かったのですが、その知識を生かしたいと思える仕事が当時見出せず、専攻にかかわらず広く門戸を開いていたERPベンターに就職しました。
とても働きやすい会社でしたし、会社の成長期と重なったこともあり、入社後、非常に楽しく仕事をしていました。一方、システム導入の様々なプロジェクトを経験するうちに、次々と進化を遂げるITの世界の中で、常に最新の技術を身につけお客様に最適なソリューションを提供していくスペシャリストとして仕事をするよりも、業務改革や経営の視点で仕事をしてみたいと思うようになりました。
業務改革や経営の視点といっても、戦略系コンサルティング、中小企業診断士、公認会計士など様々な仕事があると思います。そんな中で自分の知識や技術を積み重ねスキルアップし、プロフェッショナルとしてできる仕事として、業務プロセス改革のコンサルティングが自分のこれまでのキャリアから考えると比較的入りやすい仕事でした。
そのとき、たまたま2004年7月に出来たばかりのNTTデータビジネスコンサルティングの存在を、知人から聞き、2005年の1月に入社することになりました。
知識だけのコンサルはいらない
-いきなりコンサルタント会社に転職して苦労はありませんでしたか?
それまでは情報システムを相手に仕事をしていたのですが、この会社では、目に見えない「業務」を変えていくことを相手にします。前の会社では情報システムが期待通りに動けばOKで、成果がわかりやすかったのですが、現職では「業務」とその業務にまつわる「人」を相手にするので、延長線上とはいえ仕事内容が大きく変わりました。
ドキュメント1つ作成するにしても、前の会社には特に決まりごとがなく自由に作成していました。コンサルティング会社には色々な作法があり、それに従わなくてはならないですし、賢く見える(笑)コンサルタントらしい資料の作成を求められます。最初に習ってしまえばすぐできるようになるのですが、そんな基本的なビジネススキルを学び直さなくてはなりませんでした。
今の仕事で大変だと感じることは、コンサルタントがプロジェクトメンバーと業務改革案を作成したとしても、その案を実行に移すのは現場で業務に携わっているクライアント企業の方々です。彼らにどう納得していただくか、が大切です。一時は業務的な負荷が増加するとしても、会社全体の観点から業務を変える必要性をお客様ご自身の腹に落とし込んで、理解して、同意していただかないといけません。私たちコンサルタントが作成した業務改革案が、現場での問題点を組み込めておらず突き返されることもあります。様々な理由で業務改革に反対する方々には、会議にすら来ていただけないこともあります。
コンサルタントは、ビジネスイシューを発見し、解決策を立案し、実際に問題を解決するのが仕事です。そんな状況をいかに早く、1歩でも前に進めるか、いろんな苦労は尽きないです。
業務や経営の知識というところでは、たしかにプラスアルファの知識をたくさん身につける必要がありました。しかしそこは、NTTデータビジネスコンサルティングの諸先輩方の協力や、専門書によって身につけることが出来ました。知識面は、勉強すれば身につけることができます。知識も重要ですが、お客様が求めているのは知識ではありません。知識が欲しいのであればお客様は本を買って勉強するでしょう。
私たちが提供しなくてはならないのは、お客様が置かれているまさにその状況の中で、お客様独自の課題を見抜き、課題の優先順位を判断する力、最もお客様にあった施策を考える力、実行の仕方、といった面だと思います。知識があるだけであればコンサルタントでもなんでもないのです。