ユーザーとユーザーの関係がゲームを面白くしているPSPで出荷50万本を達成した、モンハン日記 ぽかぽかアイルー村も、コミュニケーションが重要な要素になっています。例えば、ポケモンを1人で遊んで、面白いでしょうか。もちろん、それなりに楽しく遊べます。しかし、友達がいると、もっと楽しく遊べます。なかなか見つからないポケモンを交換してもらったり、一生懸命育てたポケモンを戦わせたり、できることがぐっと増えます。しかもそれは、後で誰かと楽しむことができるというだけで、1人で遊んでいる時でさえ、より楽しく遊べるようにしてくれます。モンハンもそうです。1人でも遊べないことはありませんが、4人で狩りをする興奮にはとても達しません。みんなで遊ぶからこそ、どうぶつの森で変な言葉を村で流行らせたり、nintendogsで飼い犬におしゃれさせたりするのだって楽しいんです。これらは、コミュニケーションの設計が実にうまくいっていて、ゲームの軸の1つとなっています。よって、コミュニケーションをゲームから引っこ抜いてしまうと、ゲームの面白さそのものが揺らぎます。そしてそういうゲームが、かなりヒットを飛ばしています。新しいコミュニケーションの開発ポケモンシリーズ最新作、ポケットモンスターブラック・ホワイトも、徹底的にユーザーコミュニケーションを作りこんだゲームになっています。デザイナーという職業の人は、グラフィックや、プロダクトや、空間をデザインする人です。しかし、優れたデザイナーは、グラフィックや、プロダクトや、空間ではなく、それらが使われる場面をデザインします。ゲームを作っている人はどうでしょうか。きっと、ゲームを設計しているように見えて、優れたゲームデザイナーはユーザーが遊ぶ場面をデザインしているんだと思います。そして今、それをさらに一歩進めて、ゲームをデザインするだけではなく、ゲームを1人で遊ぶ場面をデザインするだけでもなく、ゲーム使ったコミュニケーションの場面をデザインする、そんなことが重要になっているように思います。それは、1人で遊ぶゲームにマルチプレイの要素も入れよう、ということとはまるで話が違います。大事なのはマルチプレイ要素ではなく、それも手段の1つとして今までにないコミュニケーションの形を創造し、ゲームの世界が広がっていく、その面白さなんです。ユーザーはいつでも新しいものを求めます。新しいゲーム、新しいコミュニケーションを。これは、作る側の立場で想像してみれば、口で言うほど簡単にできることではないでしょう。それでも、携帯ゲーム機で大ヒットを飛ばしたゲームのいくつもが、その難しい課題にチャレンジしています。そして、エンターテイメントというものは、そういったチャレンジを繰り返し、ユーザーの想像を超越していかなければ未来は開けません。前のページへ123次のページへ