プジョー/プジョー

作り手の思いが具現化された渾身のRCZ

大絶賛のショーモデルのスタイリングそのままに登場したプジョーRCZ。デザインばかりが注目されがちですが、そのライドフィールも超一流です。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

デザイン、そしてライドフィールまでもが超一流

プジョーRCZ
2007年のフランクフルトショーに出品されたコンセプトカー、308RCZの市販版となる2+2スポーツクーペ。創業200周年を記念して新しくなったブランドロゴを初めて用いたモデルでもある。国内には右ハンドルの6AT仕様(399万円)と左ハンドルの6MT仕様(423万円)をラインナップした。サイズは全長4290×全幅1845×全高1360mm
プジョーRCZ
プジョーRCZ
速度に応じて2段階に変化するアクティブリアスポイラーをプジョーで初めて装備した
このクルマの命は、デザイン。

確かにその通り。けれども、そのライドフィールもまた超一流。FFスペシャリティの中では、ルノークリオRSほどのスポーツ性はないにせよ、VWシロッコRとタメを張るんじゃないか。こういうクルマを造らせると、とてもじゃないが日本やアメリカのメーカーはヨーロピアンブランドに適わない。

造る人柄と造らせる土地柄が決定的に違っている。

実用車はともかく、この手のスペシャリティカーは自己表現手段のひとつであるという考え方が徹底しているから、こういう思いきったデザインができるのだろう。このあたりは、例えば日本なら日産(外国人が意思決定機関に多いことに注目したい)あたりがチャレンジし始めているが、まだまだ手ぬるい。

RCZのみどころは、ルーフからリアウィンドウにかけてのダブルバブルと、アルミニウムのサイドアーチのコンビネーションである。顔は今プジョー流。ハナから2ドアクーペにするという決め事ではなかった(=ユニークさだけを追求した)から、逆にこういうプロポーションが実現したのだった。ルーフのダブルバブルはまだしも、ウィンドウまでそうしてしまうなんて、国産メーカーでは考えられない。

さすがにインテリアまでベースの308から大きく変えることはできなかった。それでもスペシャルな雰囲気には仕立てられていて、大きな不満はない。着座位置が低まっているから、座って眺めた景色はなかなか。これでもっと華やかなカラーコーディネートがあれば良かったのだが。

プジョーRCZ
AピラーからCピラーまでアルミ製のパネル(アルミナムアーチ)で一体化させたデザインや、大きく張り出したフェンダーをもつ。ラゲッジは通常321リッター、最大639リッターを確保した

日本仕様は、左ハンドル/200ps/6MT/19インチと、右ハンドル/156ps/6AT/18インチの2タイプが用意された。それぞれに魅力的なオプショナルパッケージも用意されている。中でもカーボンパッケージは、バブルルーフに微妙な表情を与えてくれる。

プジョーRCZ
ルーフからリアガラスにかけて2つのコブのような膨らみをもたせたダブルバブルルーフ。ルーフはパッケージオプションでカーボン素材も選べる(ATモデルは19インチアルミホイールなどとセットで30万円、MTモデルはインテグラルレザーなどとセットで43万円)

その走りについては次ページ
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