4ドアにありそうでなかった、本格的FRスポーツの味わい
最高出力477ps/最大トルク600Nmを発生する6リッターV12エンジンを搭載。タッチトロニック2と呼ばれる6ATが組み合わせられる。0-100km/h加速は5.3秒、最高速は303km/h。DBSにも採用されているアダプティブダンピングサスペンションシステムや、システム介入のレベルが変更出来るダイナミックスタビリティコントロール(DSC)も備わる |
V12エンジンの目覚めは、豪快。他モデルに比べればやや大人しく思えるが、4ドア界では異例の目覚めである。クアトロポルテより猛々しい。
走り出した感覚は2ドアモデルと大差ナシ、と言いたいところだけれども、何となく長細いクルマに乗っている感じはある。相変わらず前脚はよく動いてくれるのだが、対してリアが少しだけズレて反応してくるからだ。ホイールベースの延長分が効いている。
加速時のサウンドも、実際の速さにしても、ドア数を増やしたキャラクターにふさわしいぶんだけジェントルだった。DB9にしろV8ヴァンテージにしろ(DBSやV12ヴァンテージはもちろん)、2ドアのアストンでは、後輪の力を腰にダイレクトに感じてノーズを回すという古典的なFRのフィーリングがとても強く出ているもの。そうした一瞬の動きがマイルドなので、人によっては扱いやすいと感じるかも知れない。
それでも、走りはいかにもFRスポーツカーらしい。ロングホイールベースを“タメ”に使って走れば、2ドアモデルとはまた違ったテイストが楽しめる。“4ドアクーペ”というだけあって、ライバルと目される4ドアスポーツサルーンとは、全く異なる世界観をみせてくれる。
4ドアのスポーツクーペ。ここまで本格的なモデルは、ありそうでなかった。それゆえに、マーケットはニッチもニッチ、超ニッチ。ヒット作になるとは思えないが、逆に言えば買った人の満足度はその稀少性から相当に高いものとなるはずだ。
ブランドとしては初めてエレクトロニックパーキングブレーキ(EPB)を採用、スイッチはセンターコンソールに配置された。デンマークの高級オーディオメーカー、バング&オルフセンのオーディオシステムが標準で備わる |
ラゲージ容量は通常で317リッター、後席を倒すと最大886リッターを確保する |
前席部より伸びているセンターコンソールにより、後席は独立2座式となる |