建築基準法改正で留意すべき点とは?
今回の法改正について、アパ・マン経営で留意すべき点は3つあります。
(その1) 構造計算適合性判定制度の導入
一つ目は、「構造計算適合性判定制度」の導入です。
この制度の導入により、一定の高さ以上等の建築物(高さ20Mを超える鉄筋コンクリート造の建築物など)については、第三者機関による構造審査(ピアチェック)が義務付けられることになりました。
きちんとした構造審査が行われれば、必然的に欠陥建築物は少なくなるので、この点を考えれば、社会的に見て、とても良い制度といえるでしょう。
しかし、実はこの「構造計算適合性判定制度」、アパ・マン経営にとっては、ひとつネックがありそうなのです。
それは、ピアチェックを行う分「時間と手数料が余計にかかってしまう」ということです。
まずは時間的な問題。「構造計算適合性判定制度」の導入に伴い、建築確認の審査期間が「21日間」から「35日間」に延長されました。
しかも、詳細な構造審査を要する場合には、審査期間が延長されます。
(なんと、最大で70日間!!)
次に費用的な問題。ピアチェックにかかる手数料はまだ具体化していないようですが、ちなみに知り合いの設計士から聞いたところによると、20万から30万程度はかかるとのことでした。
いずれにせよ、確認申請にかかる時間と費用が従来よりも多くなってしまうようです。
あらかじめ、時間的にも資金的にも少し余裕を持たせて企画することが必要となりそうですね。
(その2) 確認申請に関する補正慣行の廃止
二つ目は、確認申請に関する補正慣行の廃止です。
従来、設計図書に関係法令に適合しない箇所や、不適合な箇所がある場合には、建築主事等が申請者にその旨を連絡し、補正させた上で確認するという慣行がありました。
しかし、今回の法改正に伴って、誤記や記載漏れなどを除き、図書に差替や訂正がある場合には補正が認められず、再申請をしなくてはならなくなりました。
もし補正が認められず、再申請になってしまうと、再度申請を出し直す時間と申請料が別途発生してしまいます。施主にとっては、文字通り「余計な出費」です。
こんな事態を防ぐためにも、申請前に設計図書のチェックを十分に行うことは当然のこと、予め建築計画の内容を確定した上で、確認申請を行う必要があるでしょう。
(その3)着工後の計画変更
最後は、着工後の計画変更に関する取り扱いです。
現場が始まってからの変更は、軽微な変更を除き、原則として計画変更申請が必要となります。
したがって、従来補正で対応していた部分も、このような変更が生じた場合は、一旦工事をとめて申請を行わなくてはなりません。さらに、構造的な変更があれば、再度ピアチェックが必要になるかもしれません。
そうなると、申請手数料が別途かかるほか、作業工程に大幅な遅れが出てしまいます。
最悪の場合、入居募集シーズンに間に合わなくなってしまうかも知れません。
これでは、大きな機会損失につながってしまいます。
そうならないためにも、着工後に変更が生じないよう、企画の段階でくれぐれも慎重に計画を立てておくことをお勧めしますよ。
さて、ここまで今回の法改正の留意点についてお伝えしてきましたが、
実はアパ・マン建築を企画する人が気をつけなければならない「落とし穴」がありそうなのです。
そこで次回はアパ・マン建築計画で気をつけなければならない「落とし穴」についてお伝えしようと思います。是非お楽しみに!!