住宅リフォーム/増改築リフォーム

建て替えかリフォームか?判断基準はココ

築20年を超えると悩むのが、建て替えかリフォームかということ。どちらを選べばよいか、具体的に判断する方法を5つのステップで紹介します。まずは現状確認からスタートしましょう。(2017年改訂版、初出:2008年6月)

尾間 紫/Yuu

執筆者:尾間 紫/Yuu

リフォームガイド

建て替えを選ぶかリフォームか?ただ漠然と悩んでいても答えは出ません。具体的にどのような行動を起こし判断していけばいいか、5つのステップでご紹介します。

建て替えかリフォームか、判断できず漠然と悩んではいませんか?

建て替えかリフォームか

建て替えかリフォームか、築20年を過ぎるとばくぜんと悩んでいる人は少なくない。

築20年を超えたころから出てくるのが、建て替えかリフォームかという悩みです。セミナーなどでよく受ける質問に、「建て替えるにはまだ早いでしょうか?」「リフォームでまだ大丈夫でしょうか?」というものがありますが、その場で「リフォームを選ぶといいですね」と言ったような即答はできません。

建て替えかリフォームかを判断するため必要な要素は大きく2つ。1つめは専門家による「現状確認」、そして2つめは各家庭の「未来予測」です。では早速、建て替えかリフォームか迷った時の判断方法をステップ1からご紹介します。

<目次>
  1. 専門家に調査を依頼、今の家の本当の状態を把握する
  2. それぞれのメリットとデメリットをよく確認する
  3. 家族で話し合い、長期的な視野で今後の暮らしを考える
  4. 希望の内容を満たした、それぞれの見積もりを比較する
  5. 生活スタイル、機能、費用、3つのバランスチェックで決定

Step1. 専門家に調査を依頼、今の家の本当の状態を把握する

住宅地

同じ築20年であっても、家の状態は千差万別。メンテナンスの頻度や、立地条件によっても状況は変わる。

建て替えかリフォームか、最初のステップは現状確認です。築20年だからリフォーム、築25年だから建て替えというように、築年数によっての判断は得策とは言えません。

同じ築20年の家であっても、それまでのメンテナンスの状況や立地条件によって家の状態は大きく異なります。

築15年でも基礎や土台、柱などの構造部分が激しく傷んでいれば、建て替えを選ぶほうがいいケースもありますし、築30年でもリフォームで十分というケースもあります。

ただし1981年 (昭和56年)に新しい耐震基準ができましたので、それ以前に建てられた家は、かなり大掛かりな耐震リフォームが必要になります。また法的に建て替えができない土地や、法改正によって前より小さな家しか建てられなくなっているケースもあります。

これらが分からない状態で、建て替えかリフォームか悩んでいても答えは出ません。まずは、専門家に現在の家の状態を調査してもらい、我が家のポテンシャルを知ることが、適切な判断への第一歩となります。家の診断費用は5万円~で、詳細の調査の場合は10万円~が目安です。この時点で、リフォームには多大な費用が掛かり過ぎる、まだまだこれから長持ちするなど、ある程度の判断がつくことでしょう。


Step2. それぞれのメリットとデメリットをよく確認する

夫婦で相談

建て替えとリフォーム、まずはそれぞれの長所・短所を理解しておく。

2番目のステップは、建て替えとリフォーム、それぞれのメリット、デメリットをよく確認することです。

リフォームのメリットは、使える部分を再利用しますので廃棄物が少なく、コストの削減ができるところにあります。また住みながらの工事なら、引越しや仮住まいの費用が不要です。

建て替えのメリットは何といってもプランの自由度、そして最新の性能を備えた家にしやすいところにあります。住まいの性能には耐震性能、省エネ性能(断熱性能)、バリアフリー性能などがあり、見た目にはあまり変わらなくても、暮らしの安全性や快適性、維持費などに大きく影響します。

リフォームのデメリットは、大きな間取りの変更をしたり、最新の性能を満たしたりするためには、費用がかさむ点です。内容によっては建て替えとほとんど費用が変わらなくなってしまうこともあります。

建て替えのデメリットは、まだ使える部分も壊して新しく作るのため、引越しや仮住まい、登記の費用なども含め、総工事費が高くなります。

まずはこれらのメリット、デメリットをよく確認し、優先順位を付けてみましょう。それぞれの特徴をよく理解した上で判断することが大切です。


Step3. 家族で話し合い、長期的な視野で今後の暮らしを考える

生活設計

あと何年ここに住み続ける?子供たちは?老後は?今後の生活設計によって選択が変わる。

建て替えかリフォームかを判断する3番目のステップは、その家に後何年住むのかを考えてみることです。もちろん人生は流動的ですから、確定させるのは難しいことです。

しかし、子供たちの独立が迫っているならこの先子供部屋はどうするか、親との同居はあるか、介護はどうするか、老後もそこに住み続けるのか、それとも住み替えるかなどによって必要な家の形は違い、建て替えかリフォームかの選択も変わってきます。

まずは今後について、家族全員でじっくりと話し合ってみましょう。判断の目安として、今後30年以上そこに住むのなら建て替え、20年なら大規模リフォーム、10年なら小規模リフォームを選ぶことをお勧めしています。また数年以内に家族構成や生活スタイルの大きな変化が予測される場合には、その時点まで待ってから判断するほうがいいでしょう。


Step4. 希望の内容を満たした、それぞれの見積もりを比較する

見積もり費用

比較の際には間取りだけでなく、耐震・断熱などの家の性能部分もよくチェック。見積もりを取り費用に見合った性能が得られるかを考えて。

4番目のステップでは、建て替えとリフォームそれぞれに掛かる費用の見積もりを取りましょう。何もわからないうちに悩んでも答えは出ません。具体的なプランと費用が出て、初めて比較し、選ぶことができるのです。

リフォームの見積もりを取る際には、今後その家に何年住みたいかをハッキリ伝えることがポイントです。それにより、構造部分や配管を新しくするのか、補修でいいのかが変わり、掛かる費用が大きく変わります。

住まいの快適性を左右するのは家の性能です。しかしリフォームでの性能向上は、費用がかさむこともあるので、コストパフォーマンスをよく検討することが大切です。耐震や断熱、防音性能などの性能がどれだけ向上するのか、費用に見合った快適性が得られるかを見極めた上で、判断するようにしましょう。また比較の際には、仮住まいや引越し、税金などを含めた支出総額で考えることが肝心です。


Step5. 生活スタイル、機能、費用、3つのバランスチェックで決定

新築の様子

見た目だけでなく性能も確認、掛かる費用と機能のバランスを考えることが大切。

建て替えかリフォームかの最終的な判断は、現在の家の状態をベースに、これからの生活設計、間取りや性能など家の機能、掛かる費用の3つのバランスを見て決断します。

どれを重視するのかは住み手によって違うため、同じような状況にあっても選ぶ答えは様々です。4ステップまでをしっかりと踏んで検討すれば、建て替えの必要までは感じない、逆にリフォームでは費用が掛かりすぎて叶えられないものがあるなど、具体的な方向が見えてくることでしょう。

リフォームでも、やろうと思えばほとんどの希望は叶えられます。しかし大事なことは、そこに掛かる費用と得られる機能のバランスが、納得できるものかどうかということです。

費用対効果を考えれば、リフォーム費用が建て替え費用の70%を超えるような場合は、建て替えを選択されることをお勧めしています。まずは信頼のできる専門家に相談し、我が家の現状を把握するところから始めましょう。



建て替え、リフォームそれぞれのメリット・デメリットの詳細と、費用が高額になるリフォームを下記にまとめましたので、あわせてご覧下さい。
断熱性能や間取りを見直すリフォームの詳細については下記でご紹介しています。
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