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更新料をめぐる訴訟は、貸主の全面勝訴!

更新時に支払う更新料は、消費者契約法に違反するのではないか――と、京都市の男性が貸主に更新料の返還を求め、訴訟を起こしています。最近、「貸主の勝訴」、つまり更新料は有効との判決の言い渡しがありました。

加藤 哲哉

執筆者:加藤 哲哉

賃貸・部屋探しガイド

※2009年7月23日、賃貸住宅の「更新料」支払いを義務付けた特約は、消費者契約法に違反しているとして、貸主側に約11万円の返還を求めた裁判では、「マンション更新料は無効」との判決が出ました。
以下に紹介する記事は、2008年1月現在での更新料に関する司法判断であり、現在でもさまざまな議論が交わされています。
詳しくは、2009年の記事をご覧ください。→こちら






賃貸借契約を更新するときには、必ず更新料は払うもの。そんな習慣がこの業界ではあたり前になっています。でも、その更新料を支払うことに疑問を持ったことはないでしょうか。

京都市で更新料に係る訴訟が起こる!

本
業界でも注目度が高まっている更新料訴訟。地裁でも判決が出ました!
京都市の男性会社員が貸主に更新料5回分計50万円の返還を求める訴訟が、最近、京都地裁でありました。判決によると、男性は平成12年8月に月額賃料4万5000円、更新料は毎年10万円で京都市内のマンションを借りる契約を貸主と締結。平成18年11月に退去するまでに6回更新するうち、平成17年までの5回分の更新料を払っており、その50万円を取り戻すための裁判でした。

 原告側(京都市の男性)の弁論要旨から要点をまとめてみると、

・更新料という概念は、法律にはなく賃貸借契約の実務の中で発生したものにすぎない。つまり法的性格を含んでいるものではない。
・そもそも更新料は、賃料を増額するための脱法的な手段だったもので、賃借人に支払う義務はない

というもの。これらが、「民法90条、消費者契約法10条に違反する」という主張です。(民法90条、消費者契約法10条はこちら

更新料がスタートした経緯は定かではないが、昭和30年ごろの高度成長期に地価が高騰し始め、それに反映しきれなかった賃料の値上げ分を更新料という名目で金銭授受を行ったのではないか。そのようなあいまいな定義でスタートした更新料は、貸主にとってのみ有利に働くものである、というのが原告の言い分。
 実際、公的住宅では更新料をとっていないし、国土交通省が推奨する賃貸借標準契約書でも借主が更新料を取得する旨は書かれていません。しかも、貸主と借主の力関係や間に不動産管理会社が入ることによって、借主に更新料を請求しやすい状況になっているのではないか、との意見も述べられています。

>>>この判決の行方は?

民法90条:(公序良俗)
公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする
◎消費者契約法10条:(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは無効とする。

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