以下に紹介する記事は、2008年1月現在での更新料に関する司法判断であり、現在でもさまざまな議論が交わされています。
詳しくは、2009年の記事をご覧ください。→こちら
賃貸借契約を更新するときには、必ず更新料は払うもの。そんな習慣がこの業界ではあたり前になっています。でも、その更新料を支払うことに疑問を持ったことはないでしょうか。
京都市で更新料に係る訴訟が起こる!
業界でも注目度が高まっている更新料訴訟。地裁でも判決が出ました! |
原告側(京都市の男性)の弁論要旨から要点をまとめてみると、
・更新料という概念は、法律にはなく賃貸借契約の実務の中で発生したものにすぎない。つまり法的性格を含んでいるものではない。
・そもそも更新料は、賃料を増額するための脱法的な手段だったもので、賃借人に支払う義務はない
というもの。これらが、「民法90条、消費者契約法10条に違反する」という主張です。(民法90条、消費者契約法10条はこちら)
更新料がスタートした経緯は定かではないが、昭和30年ごろの高度成長期に地価が高騰し始め、それに反映しきれなかった賃料の値上げ分を更新料という名目で金銭授受を行ったのではないか。そのようなあいまいな定義でスタートした更新料は、貸主にとってのみ有利に働くものである、というのが原告の言い分。
実際、公的住宅では更新料をとっていないし、国土交通省が推奨する賃貸借標準契約書でも借主が更新料を取得する旨は書かれていません。しかも、貸主と借主の力関係や間に不動産管理会社が入ることによって、借主に更新料を請求しやすい状況になっているのではないか、との意見も述べられています。
>>>この判決の行方は?
◎民法90条:(公序良俗) 公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする |
◎消費者契約法10条:(消費者の利益を一方的に害する条項の無効) 民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは無効とする。 |