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更新料をめぐる訴訟は、貸主の全面勝訴!(2ページ目)

更新時に支払う更新料は、消費者契約法に違反するのではないか――と、京都市の男性が貸主に更新料の返還を求め、訴訟を起こしています。最近、「貸主の勝訴」、つまり更新料は有効との判決の言い渡しがありました。

加藤 哲哉

執筆者:加藤 哲哉

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この裁判の重要点は?

お金
ただお金を取り戻すというだけではない、もっと大きな意味がこの裁判には込められている気がします
この判決に注目が集まっている理由は、この結果が全国的に大きな影響を及ぼす力を持っているからなのです。もし、原告側(借主側)の勝訴ならば、借主の貸主に対する更新料返還請求が認められることになるし、現在、契約期間中の更新料の不払いがあっても貸主は請求できないことになり、逆に被告側(貸主側)の勝訴ならば、現在までの借主の貸主に対する更新料返還請求は認められないことになります。

 更新料を取っている賃貸住宅は、北海道、首都圏、東海、関西、九州、沖縄など全国に約100万戸とも言われています。それだけの物件に大混乱を生じかねないほどの訴訟に、業界全体で注目しているのです。

「貸主の全面勝訴!」

平成20年1月30日、京都地方裁判所判決では、被告(貸主側)の全面勝訴となりました。これで事実上、更新料は有効であると認められたのです。原告の主張する「民法90条、消費者契約法10条違反」にはいずれも該当しない、と裁判長より言い渡されたのです。

おもな判決理由としては、
・更新料は賃料の補充(賃料の前払い)としての性質を持っており、また賃借権の強化の性質も持っている
・消費者契約法10条の違反については、本件更新料が過大な金額ではなく、この更新料の約定が原告に不測の損害、不利益をもたらすものではないことから、違反ではない

というものでした。

今回のように、賃貸借目的で建てられた物件を借りている場合には、契約期間途中に貸主より明け渡しを言われる可能性がなく、更新後も契約期間は住み続けられる保障があります。つまり、更新料を払うことは賃借権の強化にあたるというわけです。さらに、更新料を払うことを含めたうえで借主はこの物件を契約していることも、考えられています。



この裁判は、判決に不服である、と原告側が即日控訴手続きをとったため、今後は京都地方裁判から大阪高等裁判所へと移り、まだまだ続きます。ですが、今のところは、更新料に関する約定は有効であると認められ、貸主側の主張が通っています。

私見ですが、今回のケースは約定されている上に、過去支払い済の更新料を返還させるという内容なので、こういう判決がでたと思います。これが仮に過去の分ではなく、今後の更新料の支払いを拒絶する内容であったら、判決は微妙で、借主勝訴だった可能性が高まったのではないかと思います。

今後も議論が続く「更新料問題」。まだまだ目が離せません。


【関連サイト】
・更新料問題を考える会
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