礼金・敷金の地域差は、何を語る?
◎礼金がないのは…北海道、京都、兵庫、愛媛、福岡など
礼金は、部屋を貸してくれる大家さんにお礼の意味を込めて支払うことからスタートした制度。昔は、地方から都会に上京して一人暮らしを始めるときに、身寄りが誰もいないことを心配した親族が、「何かあったらよろしくお願いします」との気持ちを込めて、賃貸物件のすぐそばに住んでいる大家さんに支払ったものでした。そのせいか、首都圏では礼金を取っているケースが多いのですが、地方にいくとその慣習は薄れているようです。
その相場はだいたい1~2ヵ月程度。関東や東海地方では全体の5~6割程度の物件が礼金ありとなっています。福岡や兵庫では礼金の慣習はなく、「敷金(保証金)、敷引き」という、その地域ならではの制度が慣習となっていることが分かります。
◎敷金の相場は、「西高東低」の傾向あり
敷金はその性質を考えると、礼金のように「なし」という訳にはいきません。全国的に見ても「敷金なし」という地域はありませんが、相場には地域差があるようです。
北海道から関東にかけては、敷金は1~2カ月程度、東海エリアは2カ月程、関西から九州にかけては3カ月~4カ月程、と西へ行くほど、敷金相場は高くなっています(ただし、沖縄は別)。
関西で敷金相場が高いのには、理由があります。それが「敷引き」という制度。入居時に預かった敷金のうち、一定額を補修や修繕のために退去時に差し引く制度のことです。入居するときから、差し引かれることがはっきりしているため、入居者にとっては礼金のようなもの(=最初に払って返ってこないお金という意味で)と言えるかもしれません。データでは敷引き(償却金)は、2~3カ月程度ですが、実際に物件を調べてみると敷金6~8ヵ月、敷引きはその半分~6割程度の物件も多く、入居するときにある程度まとまった金額が必要になるので、物件を借りるときには心づもりをしましょう。
今後の動きは?
礼金は大家さんにとってすでに見込まれた収入であり、建物の返済計画にしっかり組み込まれています。そのため、突然礼金をなくすことは困難なこと。しかも長年の慣習が身に付いているため、大家さんにとって礼金は当たり前になっています。しかし、ここ数年でその傾向に変化がでており、礼金をとらない物件が増加しています。今後も流れとして礼金なしの物件は増えていきそうです。
また、敷金は賃料滞納時の担保的意味合いと退去するときの原状回復費用を確保するためのものなので、なくしたり減らしたりするわけにはいきません。しかし、現在は連帯保証人代行会社の出現により、賃料滞納のリスクをオーナーが負わなくて良いケースが増えてきたこと、原状回復費用も入居者負担の比率が減ってきたことなどが影響し敷金もあまり取らない傾向がでてきています。
新しい地域で部屋を借りるときの参考にしてみてくださいね。
【関連サイト】
・国土交通省「民間賃貸住宅実態調査の結果」