妊娠した人の中で流産になる確率は、およそ10~15%といわれています。意外と高い確率ですよね。染色体や子宮の異常もありますが、今回は漢方で考える流産や切迫流産のケアをご紹介します。

漢方で考える、妊娠中のママのカラダ

漢方では妊娠から12週間内に流産することを「墜胎」、12週から28週の間に流産することを「小産」という

漢方では妊娠から12週間内に流産することを「墜胎」、12週から28週の間に流産することを「小産」という

女性は妊娠することによって体つきが丸みを帯びたり、ホルモンバランスが大きく変化したりします。これらの変化は全てお腹の中の赤ちゃんを育てるためであり、妊娠中のママの内臓は普段と比べて活発に活動します。

漢方では、特に妊娠中は胃腸や腎の働きが活動的になるといわれています。胃腸は食べたものを消化吸収する機能を持つので、赤ちゃんに栄養を与えるのに大切で、腎は生殖能力を司る機能であり、ママの生命力を維持する上でも赤ちゃんをはぐくむ上でも、とても大事な臓腑なのです。

しかし、ママ自身が虚弱体質だったり、冷えていたり、過労やストレスを抱えていると、ママ自身のカラダが衰弱し、赤ちゃんを育てる余裕がなくなってしまいます。

もともと私たちのカラダは自分の生命を維持することを最優先とし、生殖能力、つまり子供を育てる機能は二の次。なのでママのカラダが衰弱しきってしまったとき、まずは自分のカラダを守る機能が働きます。その結果、切迫流産や流産、習慣性流産などを引き起こす場合があるのです。
 

漢方で考える、流産・切迫流産・習慣性流産の原因

■腎の働きが低下している
習慣性流産でよく見られるタイプです。生まれつき虚弱体質だったり、過労や多産、セックス過多、妊娠中にセックスを控えなかったりすると腎機能が低下し、生殖能力が落ちてしまいます。

主な症状は、胎児の発育が悪かったり、お腹が下がる感じがしたり、少量の性器出血、下腹部痛、腰痛、めまい、耳鳴り、頻尿、夜間尿など。

このような場合、ともかく休息することが一番。お仕事をしている場合は、勤務時間の短縮や、休職を視野に入れてみましょう。下半身を温めることも大事。温かい格好を心がけ、足湯などで血流をよくしましょう。

代表薬は、十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)や、六味丸(ろくみがん)+四物湯(しもつとう)など。虚弱体質を強化したり、腎の機能をサポートするような漢方です。

■自律神経のバランスが乱れている
妊娠中は妊娠を維持するためにホルモンバランスが変化するので、余計に自律神経が乱れやすくなりますが、もともとストレスを感じやすい性格だったり、過度なストレスによって自律神経のバランスが乱れてしまっているのが原因。

おもな症状として、性器出血(ネバネバの血)、お腹が下がるような感じがする、下腹部痛、イライラ、不安感、わき腹が張る、口が苦く乾燥する、便秘と下痢を繰り返す、目の充血などがあげられます。

ストレスを感じているようであれば、その原因を解消することがなによりです。また、ココロとカラダのアンバランスが自律神経のバランスの乱れを生じるので、症状が落ち着いてきたら、散歩などをして適度にカラダを動かすといいでしょう。

加味逍遥散(かみしょうようさん)は気や血のめぐり良くし、のぼせやイライラにもよく用いられる処方です。

■充分な栄養が足りない
流産、切迫流産、習慣性流産でよくみられるタイプ。ママの体質が虚弱だったり、過労、飲食の不摂生やつわりがひどいために胃腸の働きが低下し、食べた物を消化吸収できず血を作り出すことができなくなる状態です。このような状態が慢性化してしまうと、何度も流産を繰りかえす習慣性流産になりやすくなります。

少量の出血(色は薄い)、腰や下腹部の痛み、お腹が下がる感じがする、顔色が白くなる、動悸、息切れ、疲れやすいなどの症状があります。

養生法としては、まず休息をしっかりとること。仕事のペースを無理ないようにしたり、消化のよい物を食べることも大事です。甘いもの、脂っこいもの、生ものなどは控えましょう。

漢方薬では、胃腸を丈夫にし、体力や気力をつける十全大補湯補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などが有名です。


このほか流産の原因には、打撲などの外傷によるものもあります。外傷を負ったらまずは病院で受診し、適切な処置をしてもらいましょう。

漢方では、習慣性流産を起こしやすいときに体質改善を目的に漢方を服用するケースがポピュラーです。漢方を服用したい場合は、必ず漢方の専門家にご相談くださいね。

次回は産後のケアや母乳のトラブルなどをご紹介する予定です。

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