漢方では病気の原因として、気候の変化などの「外因」、体質やココロの問題である「内因」、それ以外の「不内外因」の3つの柱で考える |
心の健康の漢方でのとらえ方
くよくよ悩んだり、ストレスを受けると交感神経が高ぶり、自律神経のバランスが崩れてカラダやココロに不調をきたします。漢方で深く関わる臓器は「肝」です。「肝」は栄養物の代謝や解毒などの肝臓の機能だけでなく、情志をコントロールする作用があり、ストレスを真っ先に受けやすい場所でもあります。肝の機能が亢進すると頭痛やヒステリーを起こしやすくなります。
また、肝は心や脾(消化器系)にも影響し、不眠や不安感を生んだり、食欲不振や便秘を招いたりします。
具体的な症状にあわせて処方を考えますが、肝の機能を正常にし、気のめぐりを整えることが大切です。また、機能が亢進しているのか、低下しているのかによっても治療法は異なってくるので、正しい見極めが重要です。
症状別に、いくつかご紹介しましょう。
イライラ・ストレス対策漢方
真面目でイライラしてしがちな方に。ストレスをため込みやすく、気が張って胸や脇が痛くなったり、目が充血し、口が渇くなどの症状が出る場合、「逍遥散」(しょうようさん)に、熱を下げ消炎作用のある牡丹皮と山梔子を加えた、「加味逍遥散」(かみしょうようさん)が代表的。体格が良く、便秘しがちな場合は「大柴胡湯」(だいさいことう)も。神経不安・不眠対策漢方
気が高ぶって興奮しやすく、動悸や耳鳴りがしたり、不眠をともなうことが多い。体力がある方で、高血圧ぎみ。代表薬は鎮静作用や解熱作用のある柴胡や、竜骨、牡蠣が入っている「柴胡加竜骨牡蠣湯」(さいこかりゅうこつぼれいとう)など。くよくよ・不眠対策の漢方
同じ不眠でも、あれよこれよと考えすぎて、ぐっすりと熟睡できないようなタイプ。物忘れが激しく、貧血や食欲不振などの症状には「帰脾湯」(きひとう)が代表的だが、慢性化するとのぼせやほてりなどの熱の症状が加わるので、熱を抑える「加味帰脾湯」(かみきひとう)でも。緊張・冷や汗対策の漢方
もともとは虚弱体質だが、興奮したり、落ち込んだりと気分にムラがあるような場合は、「抑肝散」(よっかんさん)に消化促進作用のある陳皮と半夏を加えた、「抑肝散加陳皮半夏」(よっかんさんかちんぴはんげ)がオススメ。ちなみに抑肝散はもともと小児のかんしゃくに使われていたもの。精神不安定・胃腸虚弱対策の漢方
わけもなく涙を流したり、笑ったりと精神状態が不安定なタイプ。消化機能が弱いので、必要な栄養分がココロに行き渡らない。このようなケースは「甘麦大棗湯」(かんばくたいそうとう)が代表的で、女性のヒステリーによく用いられる。ご紹介した症状や漢方はほんの一例です。なお、購入したい場合は必ず漢方の専門家にご相談くださいね。
【関連記事】