腰は「腎の府(ふ=集まるところ)」といわれるほど腎と密接な関係にあります。水分代謝や血流の悪化によっても起こりますし、湿地で働く人などの環境の影響も……。漢方で解き明かす腰痛のメカニズムや代表的な漢方薬をくわしくご紹介しましょう。
 

腰痛は慢性と急性に大きく分けて考える 

農作業や漁業に携わる人は、湿気と冷えによる腰痛に注意?!

農作業や漁業に携わる人は、湿気と冷えによる腰痛に注意?!

急性の場合、疲労、睡眠不足、ストレスなどがベースにあり、これになんらかの外因が加わって発症することが多いのですが、何度も同じ症状をくりかえしたり、症状が慢性化した場合は、カラダの内部に問題があるケースが少なくありません。

なお、漢方で腰は「腎の府」と呼ばれ、腎と関連が深いとされます。腎は生殖機能をつかさどり、人間の成長発育にも密接に関係している臓器。

腎の働きは加齢とともに衰えていくのですが、年を重ねるにつれ腰痛が悪化ししたり、疲れると腰痛がひどくなるなどの場合は、腎機能の低下も考えられます。

また、腰痛は水分代謝や血流がわるくなることでも起こります。よく見られるのは、冷えによって水分代謝が悪化し、腰痛となるケース、ストレスなどによって自律神経のバランスが崩れ、血行不良で腰痛がおこるケースなどです。

血の滞りがわるくなって腰痛が起こる場合は、動かすと腰痛が改善する、朝方に腰痛がひどい、などの特徴があげられます。

漢方で解く、急性の腰痛タイプ 

■ ぎっくり腰
重いものを持ち上げたり、急にカラダを動かしたときなどに起こるぎっくり腰。こんな急な症状にも漢方は有効です。

過労や虚弱体質、老化などの原因が根本にあり、そこに筋肉の緊張やねじれが加わって気血の通りが悪くなって、腰に激痛が走ります。

ぎっくり腰になってしまったら、自己判断でシップなどせず、とにかく安静にして痛い部分に負荷をかけないようにすることが重要。そして、痛みが落ち着いてきたときに病院で診てもらうといいでしょう。ある程度痛みが落ち着いてきたら、少しずつ動かすようにすることも大事です。

代表的な漢方には、疎経活血湯(そけいかっけつとう)があります。“活血”という言葉がはいるように、血行をよくする処方なので、腰痛だけでなく冷えや肩こり、高血圧などにも用いる場合もあります。
 

漢方で解く、慢性の腰痛タイプ 

■湿気と冷えによる腰痛
もともと胃腸の調子が悪かったり、暴飲暴食などで胃腸の機能が低下し、消化吸収力が落ちるとともに水分代謝に影響がでて、腰痛になるケース。

働きすぎや虚弱体質などで腎機能の低下がみられ、水分代謝に異常がでたり、カラダに冷えを生じることによっても起こります。

具体的な症状としては、冷えによって腰痛が悪化する、梅雨時や台風、低気圧が近づくと腰痛がひどくなる、朝起きたときが一番痛いなどがあげられますが、湿気が多い環境で働く魚屋さんや漁師さん、農作業や飲食業を営む方に多く見られるのも特徴のひとつです。

このようなタイプの腰痛には、苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅっかんとう)、桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)、真武湯(しんぶとう)などで対応します。下肢のむくみや冷え、カラダが重だるい、舌に白いコケがつく、尿量が多いなどの排尿異常などにおすすめです。

腎機能の低下による腰痛
過労、老化、虚弱体質、セックスのしすぎなどが原因で腎機能が低下し、「腎の府」である腰にトラブルが生じるパターン。痛みは鈍痛であまり強くなく、疲れたときに症状が悪化しやすいのが特徴です。慢性化した腰痛の中ではこのタイプの腰痛が最も多いでしょう。

このタイプは動きすぎや働きすぎに注意。ゆっくりと体を休めることがなによりも大切です。

漢方薬では、八味丸(はちみがん)や六味丸(ろくみがん)などがあります。下半身を強化し、腎機能をサポートする処方で耳鳴りや頭のふらつき、尿量が多い、もしくは尿量が少ない、残尿感などの症状があれば視野にいれて。

■ ストレス&ドロドロ血による腰痛
精神的なストレスが原因で自律神経のバランスが崩れ、血流が阻害されてドロドロ血になり、腰痛を起こします。

ストレスなどによって症状が悪化したり、刺すような痛み、夜間に痛みが増強するなどがこのタイプの特徴です。若い方の腰痛に多いタイプともいえます。

このタイプはとにかく環境を整えることが一番。自分に合ったストレス解消法を見つけ、適度な運動をするのもオススメです。

代表的な漢方薬としては、加味逍遙散(かみしょうようさん)や血府逐オ湯(けっぷちくおとう)など。オ血(血行不良)や気のめぐりをよくするので、生理痛や肩こりなどにも使用できるお薬です。

もちろん、漢方を試したい場合は、漢方の専門家に相談してから購入くださいね。また、自己判断で勝手な対処をするとかえって症状が悪化したり、腰痛の奥に内臓の病気が隠れているケースもあるので、気になったら病院で受診しましょう。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項