「くる病(骨軟化症)」とは……ビタミンD不足などで起こる骨の病気
くる病は通常、生後数ヶ月以内に発症します(厚生労働省)
<目次>
くる病の症状……O脚などの骨変形・関節腫脹、子どもの成長障害も
くる病では以下に示すようなO脚などの骨変形、関節腫脹、肋骨念珠、頭蓋癆などが生じます。- 足が曲がって成長する(重度のO脚など)
- 関節が膨らむ
- 1つ1つの肋骨の一部にコブのように膨らむ(肋骨念珠)
- 頭蓋骨が手で押すと凹むぐらい柔らかくなってしまう(頭蓋癆)
- 筋肉痛や筋力低下が起こる
- 成長期でも身長や体重増加が止まる
- 歯がくすんだり、虫歯になりやすくなったりする
- 血中のカルシウム不足による痙攣や手足のこわばる
くる病の3つの原因……栄養不足・遺伝・日光不足
このように肋骨の部分にこぶができて、念珠のようになっています
■栄養不足……特にビタミンD、カルシウム、リンの不足
■遺伝……男性に遺伝する家族性低リン血性ビタミンD抵抗性くる病など
■日光不足……極端に日光を避けることによるビタミンD不足
特にビタミンDは紫外線によって体内で作られるため、日光不足も原因になります。手塚治虫氏の『ブラックジャック』にも、日光の当たらないロッカーで育てられてくる病になった赤ちゃんが登場しますが、医学的に起こりえることです。2019年にテレビドラマ化もされた『ラジエーションハウス』という放射線科医を描いた作品でもこの病気が紹介されていました。
近年では、アトピーなどの皮膚炎の悪化防止のために、食品の制限や極端な日光防止をした結果、くる病を発症してしまった例も報告されています。
また、未熟児や消化管の病気がある場合、栄養の蓄えや吸収が悪いために体内のビタミンD、カルシウム、リンが不足しやすく、くる病のリスクが高まります。未熟児はもともと体内ビタミンDが少ないため、注意が必要です。NICU(新生児集中治療室)では必ずくる病の検査を行うのはそのためです。
ビタミンD抵抗性くる病の多くは、繊維芽細胞増殖因子23(fibroblast growth factor23:FGF23)の過剰産生によるものであるとされています。この繊維芽細胞増殖因子23は、腎臓からのリンの再吸収や腸管からのリンの吸収を抑えるホルモンです。
栄養と日光については改善の余地があります。
過剰なダイエットや紫外線対策で高くなる「くる病」リスク
子どもだけでなく、思春期前でまだ骨が成長している女性では、2つの点で注意する必要があります。「ダイエット」と「紫外線対策」です。■過剰なダイエット
過剰なダイエットでは、全体のカロリー不足だけでなく、食材の偏りにより、ビタミンD、カルシウム、リンが不足がちになります。そのため、骨がもろくなったり、くる病を発症することがあります。骨がもろくなれば、将来的に骨粗鬆症(こつそそうしょう)の原因にもなります。
■紫外線対策
スキンケアと皮膚がんの予防に、紫外線対策は必須。日焼け止めクリームや日傘、帽子、衣服などで紫外線対策をしていることが多いと思いますが、ビタミンDを体内で作るためには、適度な紫外線が必要なのです。従って、紫外線対策は必要ですが、過度な対策にはリスクが伴います。何事にもバランスが必要だということですね。
くる病の詳しい予防法、治療法については、「くる病(骨軟化症)の予防と治療」をあわせてご覧下さい。
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