子供の病気

子どもの平均体重・標準体重……成長不良の目安と対処法

【小児科医が解説】乳幼児や小学生の身長・体重測定は、子どもの健康管理に役立ちます。体重が増えず、極度の低体重などの成長不良の場合、先天性心疾患や甲状腺機能低下症などの病気の可能性もあります。子どもの平均体重と体重測定の数値の見方、活用法を解説します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

子どもの平均体重・標準体重を知ることは、子どもの健康管理の第一歩

子どもの平均体重

子どもの体重変化は成長を図る指標に


子どもの成長過程において、発育には個人差があります。しっかり食べていても体重が増えにくくやせている子もいれば、あまり食べていないのに太りやすい子どももいます。体質もありますので、身長と体重のバランスが大体取れていれば問題ありません。

子どもの体重は、乳幼児であれば母子手帳、幼児から学童であれば学校で測定することが多いと思います。診療の場でも、身長・体重が順調に増加しているか、成長曲線に照らし合わせて確認しています。個人差があるため、成長曲線の平均通りでないことを心配しすぎる必要はありませんが、骨の病気などで身長が伸びない場合や、他の病気が隠れているケース、成育環境に問題があるケースもあるため、注意してみる必要があります。
 

子どもの成長曲線で見る平均体重……赤ちゃん・子どもの体重増加の目安

子どもの体重変化と成長

厚生労働省:成長曲線を描いてみましょう


生まれたばかりの新生児の平均体重は約3kgですが、生後1カ月で約4.5kg、生後4か月で約6kg、生後1歳では9~10kgまで増加します。1歳以降の乳幼児の体重増加は少し落ち着きますが、学童期になると、身長の伸びに遅れて体重が増加していきます。学童期では、1年間に男児は3~6kg程度、女児では2~5kg程度の体重増加が見られます。

もちろん体重だけでは個人差があり、一概に数値だけで判断するものではありません。成長の状態は身長と体重のバランスも重要ですので、身長のわりに体重が多すぎる場合は「肥満」、体重が少なすぎる場合は「やせ」と考え、状態にあわせて適切に対応していきます。
 

子供の体重が増えない……成長不良の目安・考えられる病気・原因

「成長不良」は、身長と体重を測定し、身長と体重が少ない場合もありますが、大きな問題になるのは身長のみが低い場合は「低身長」、体重だけが少ない場合は「やせ」の2つに分けられます。「やせ」は、標準体重の80%以下であり、75~80%は軽度、65~74%は中等症、64%以下は重症になります。重症例では速やかな医療機関の受診が必要なことはもちろんですが、中等症でも危険な場合があります。標準体重の74%以下に該当する場合は、早めに受診した方が良いかと思います。

体重が増えない「やせ」の場合、食事量と基礎代謝、活動量を確認します。食事量が少なかったり、食事量に対して活動量が多かったりすると、やせの状態になりますが、やせが起こるのはこれだけではありません。先天性心疾患、甲状腺機能低下症などのホルモン異常や代謝疾患、神経性食思不振症などの精神疾患などが原因に潜んでいることもあります。また、虐待などによる発育障害のケースもあります。特にネグレクトと呼ばれる虐待では、十分な食事を摂取できないことが多く、体重減少は珍しくありません。ひどい場合は最終的に栄養失調、餓死に至ってしまうこともあります。
 

子どもの体重推移のチェックポイント・活用法

子どもの健康状態を成長から見るために、集団生活の中でも身長・体重を測定することは多いと思います。発育状況は年齢とともに変わってきますので、体重が急に増えすぎたり、減ったりしていないかに注目した方が良いでしょう。平均値と比較しての体重の多いか少ないかではなく、それぞれの子どもが成長していく中での体重の「推移」を知ることです。つい平均と比較してしまいがちですが、まずは本人がしっかりと食べれていて、しっかり動けているかを見ましょう。体温も低すぎず、元気に過ごせていれば、心配しすぎる必要はありません。

気になる点がある場合は、食事の状況や間食の有無など、子どもの食生活を見直すことも大切です。子どもはストレスによって過食症や拒食症になることもあるため、体重の増減からそうしたサインに気づくこともできます。

また、前項で挙げたような明らかな低体重などの場合は早期の受診が必要です。また、肥満は生活習慣病の予備群になったり、やせは栄養不足による発達への影響が出る場合もありますので、極端な場合には注意するようにしましょう。

■参考
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