アトピー性皮膚炎/アトピー性皮膚炎の薬・ステロイド剤

アトピー性皮膚炎の外用薬

アトピー性皮膚炎が悪化してしまった場合、薬を使って正しく治療していく必要があります。まずは湿疹に直接塗布して使用する、外用薬について解説しましょう。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

外用薬

医療機関での薬では、主に外用薬(塗り薬)と内服薬が中心になります。

■ステロイド
これ以外にもステロイド外用薬は多くあります

アトピー性皮膚炎は、名前の通り、皮膚の炎症ですから、皮膚の炎症を抑える薬が中心で、炎症を強力に抑えるのが、ステロイドです。

ステロイドは副腎皮質ホルモンといい、本来、体の中にあるものです。

ステロイドの効果としては、
  • 炎症を抑える作用
  • ストレスに対抗する作用

などがあり、アトピー性皮膚炎の場合は「炎症を抑える」目的で、ステロイドが使用されます。

「ステロイド」と一言で言っても様々な種類、強さがありますので、アトピー性皮膚炎の症状、重症度に応じて変えます。

ステロイド外用薬は、その炎症を抑える作用から5つに分けています。英語の強さを活用し、分類しています。

■スロトンゲスト(strongest:最も強い)
プロピオン酸クロベタゾール(商品名:デルモベード)
酢酸ジフロラゾン(商品名:ジフラール・ダイアコート)

■ベリーストロング(very strong:とても強い)
フランカルボン酸モメタゾン(商品名:フルメタ)
酪酸プロピオン酸ベタメタゾン(商品名:アンテベート)
フルオシノニド(商品名:トプシム・シマロン)
ジプロピオン酸ベタメタゾン(商品名:リンデロン-DP)
ジフルプレドナート(商品名:マイザー)
ブデソニド(商品名:ブデソン)
アムシノニド(商品名:ビスダーム)
吉草酸ジフルコルトリン(商品名:ネリゾナ・テクスメテン)
酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン(商品名:パンデル)

■ストロング(strong:強い)
プロピオン酸デプロドン(商品名:エクラー)
プロピオン酸デキサメサゾン(商品名:メサデルム)
吉草酸デキサメサゾン(商品名:ボアラ・ザルックス)
ハルシノニド(商品名:アドコルチン)
吉草酸ベタメタゾン(商品名:リンデロン-V・ベトネベート)
プロピオン酸ベクロメタゾン(商品名:プロパデルム)
フルオシノロンアセトニド(商品名:フルコート・フルゾン)

■マイルド(mild:中等度)
吉草酸酢酸プレドニゾロン(商品名:リドメックス)
トリアムシノロンアセトニド(商品名:レダコート・ケナコルト-A)
ピバル酸フルメタゾン(商品名:ロコルテン)
プロピオン酸アルクロメタゾン(商品名:アルメタ)
酪酸クロベタゾン(商品名:キンダベート)
酪酸ヒドロコルチゾン(商品名:ロコイド)

■ウィーク(weak:弱い)
プレドニゾロン(商品名:プレドニゾロン)
酢酸ヒドロコルチゾン(商品名:コルテス)



一方、ステロイドには、よく心配されるような副作用もあります。
  • 皮膚が薄くなる(皮膚萎縮)
  • 皮膚の下の血管が大きくなり、皮膚が赤くなる(「酒(しゅ)さ」と呼びます)
  • うぶ毛が濃くなる(「多毛」と呼びます)
  • にきび、毛の周りが赤くて痛い(「毛嚢炎(もうのうえん)と呼びます」)
  • 湿疹の部分がジクジクしたり、痛い(細菌、かびなどの皮膚の感染症の影響)
です。

ステロイド外用薬は体の場所によって体内への吸入される率が異なります。(Bronaugh RLらの報告 1989)
部位   比率(%)
前頭   6.0
頭皮   3.5
あご   13.0
わき   3.6
背中   1.7
手のひら 0.83
陰嚢   42.0
足首   0.42
足底   0.14

(参考「ステロイド」・「塗る箇所によって違う!ステロイド使用法」)

■免疫抑制剤
プロトピック軟膏は濃度によって2種類あります
免疫に重要な働きをするTリンパ球を抑制するので、免疫抑制薬(免疫調整薬(めんえきちょうせいやく))と言われています。Tリンパ球は、体の中でウイルスなどの感染への防御してくれます。

しかし、防御が強く働くと、炎症を起こしてしまいます。アトピーは皮膚の炎症ですから、その炎症を引き起こす原因の1つがTリンパ球です。

全身の副作用は少なく、主な副作用としては、使用初期(使用後1-2週間)にみられる皮膚のヒリヒリ感です。

(参考「免疫抑制薬」)

アトピー性皮膚炎では外用薬が中心になりますが、内服薬も使います。
   ⇒ 5.アトピー性皮膚炎の内服薬 >>


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