アトピー性皮膚炎/アトピー性皮膚炎の薬・ステロイド剤

アトピー性皮膚炎の内服薬

アトピー性皮膚炎が悪化してしまった場合、薬を使って正しく治療していく必要があります。塗り薬だけではなく、体の内側から痒みを抑えるために、内服薬を使用することもあります。詳しく解説しましょう。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

内服薬

カプセル・錠剤・粉・シロップといった様々な形の内服薬があります
アトピー性皮膚炎の治療で使われる内服薬について、ご紹介します。
  • 抗アレルギー薬
  • 抗ヒスタミン薬
  • ステロイド薬
  • 免疫抑制薬など
アトピー性皮膚炎の湿疹でツライのが、痒みです。

その痒みを抑えるために、内服薬が使われます。特に、抗ヒスタミン薬が中心になります。

■ 抗アレルギー薬
抗アレルギー薬は、アレルギーを起こす体内のたん白質を抑える作用があります。湿疹を起こす化学物質(ロイコトリエンなど)を抑えたり、アレルギーを起こす白血球(好酸球など)の働きを抑えます。副作用は少ないのですが、アトピーに効いてくるのに1ヶ月以上かかることがあります。
商品名:インタール・リザベン・ソルファ・アレギサール・ペミラストン・オノン・キプレス・シングレア・アイピーデイなど
(参考「内服薬」)

■ 抗ヒスタミン薬
ヒスタミンという物質を抑える薬です。ヒスタミンというのは、かゆみを起こしたり、鼻水を起こしたり、くしゃみを起こしたりする作用があります。アレルギーを起こす物質(アレルゲン)が体に入ると、肥満細胞という白血球からヒスタミンが出てしまいます。このヒスタミンの作用を抑えるのが抗ヒスタミン薬です。

一方、抗ヒスタミン薬の多くは、ヒスタミンとよく似た構造をしているため、脂肪に溶けやすい性質を持っている。脳は脂肪が多いので、抗ヒスタミン薬が中枢神経へ行きやすい。そのため、鎮静作用や眠気、めまい、倦怠感が副作用としてあります。特に、第一世代の抗ヒスタミン薬は眠気が強く車の運転は非常に危険です。第二世代の抗ヒスタミン薬にはこの副作用を押さえたものもあります。

商品名:
第1世代:ポララミン・レクリカ・タベジールなど
第2世代:ザジテン・アゼプチン・セルテクト・ゼスラン・ニポラジン・ダレン・レミカット・アレジオン・エバステル・ジルテック・リボスチン・タリオン・アレグラ・アレロック・クラリチンなど
(参考「内服薬」・「眠気の少ないアレルギー薬ってないの?」)

■ ステロイド
炎症を抑える作用があり、その作用は強力です。しかし、その分、副作用も強くなりますので、医師と相談の上、きちんと使いましょう。

商品名:プレドニン・リンデロン・デカドロン・セレスタミン(抗ヒスタミン薬との合剤)など
(ステロイドを参照してください)
1~2日ぐらいでは大丈夫ですが、長期に服用すると、以下にあげた副作用が問題になります。

・主な副作用
  • 肥満
     
  • 易感染性(「いかんせんせい」と呼びます。感染症になりやすい)
  • 緑内障・白内障(目が見えなくなる)
  • 骨粗鬆症(「こつそしょうしょう」と呼びます。骨がもろくなる)
     
  • 低身長
など

重症のアトピー性皮膚炎になりますと、ステロイドの内服になります。
(参考「内服薬」・「ステロイド」)

■免疫抑制薬
免疫に重要な働きをするTリンパ球を抑制するので、免疫抑制薬(免疫調整薬(めんえきちょうせいやく))と言われています。Tリンパ球は、体の中でウイルスなどの感染への防御してくれます。しかし、防御が強く働くと、炎症を起こしてしまいます。アトピーは皮膚の炎症ですから、その炎症を引き起こす原因の1つがTリンパ球です。

内服薬では、「プロトピック」の内用薬である「プログラフ」と、「ネオーラル」の2種類があります。内用薬は主に、臓器移植のときに使用されます。内服薬は全身副作用のため、重症のアトピーでまだ研究段階です。ともにTリンパ球の機能を抑えます。

・主な副作用
  • 易感染性(「いかんせんせい」と呼びます。感染症を起こしやすくなります)
     
  • 腎障害(じんしょうがい)
  • 多毛(たもう)
  • 免疫を抑制するために癌など発生しやすい
    など
(参考「免疫抑制薬」)

このように、様々な予防法・治療法に加えて、外用薬、そして内服薬が使われます。


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