不眠・睡眠障害/むずむず脚症候群

日本初!むずむず脚症候群の治療薬のビ・シフロール錠

欧米では標準的に使われている治療薬が、いよいよ日本でも使えるようになりました。本邦で初めて保健適応が認められた「ビ・シフロール錠(一般名:プラミペキソール)」について解説します。

坪田 聡

執筆者:坪田 聡

医師 / 睡眠ガイド

やっと世界標準の治療が受けられます

パーキンソン病の治療に使われてきました

パーキンソン病の治療に使われてきました

これまで日本では、むずむず脚症候群(レストレスレッグ症候群)の治療のために、健康保険で処方できる薬がありませんでした。

しかし、1月20日から、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社の「ビ・シフロール錠(一般名:プラミペキソール)」が、「中等度から高度の特発性レストレスレッグス症候群(下肢静止不能症候群)」の治療に使えるようになりました。

プラミペキソールはドパミン作動薬の一種で、ドパミンの働きが悪くなるパーキンソン病の治療薬として使われてきました。実は、むずむず脚症候群の患者さんでもドパミンの異常があることが多く、欧米ではプラミペキソールがむずむず脚症候群の第一選択薬として、広く用いられています。

日本国内で行われた臨床試験では、投与開始1週間後に国際的な重症度スケールのスコアを有意に改善し、速やかな症状改善効果を示しました。また、治療奏効率も80%あり、確実な臨床効果が期待できることがわかりました。


少しの薬で効果があります

脚がむずむずして眠れないなら、専門医にご相談を

脚がむずむずして眠れないなら、専門医にご相談を

成人では、プラミペキソール 0.25mg を1日1回、就寝の2~3時間前に内服します。薬の量は 0.125mg から始めて、症状を見ながら1日0.75mg を超えない範囲で増やせます。ただし副作用などを避けるため、低用量の使用が望ましく、増量は1週間以上の間隔をあけて行います。

パーキンソン病の治療では、1日の標準的な投与量が 1.5~4.5mg です。それに比べると、むずむず脚症候群で使われる場合は、6分の1~18分の1という少ない量で効果があります。ちなみに薬価は、0.125mg のビ・シフロール錠が1錠 54.5円、0.5mg 錠が187.9円です。

残念なことに、副作用のない薬はありません。プラミペキソールで多くみられる副作用は、吐き気や胃の不快感など消化器系のものです。また、前兆のない突発的な睡眠や傾眠がみられることがありますので、服用中には自動車の運転や機械の操作、高所作業など危険を伴う作業はしないように、注意が必要です。

また、妊婦および妊娠している可能性のある女性と、この薬に対してアレルギーが出たことのある人は、内服してはいけません。

むずむず脚症候群の日本における有病率は2~5%で、そのうち日常生活に支障をきたしている重症患者は200万人と推定されています。今回、日本で初めて治療薬としてプラミペキソールが使えるようになったことは、多くの患者さんにとって大変うれしいニュースといえます。

【関連サイト】
むずむず脚症候群
日本ベーリンガーインゲルハイム
神経科検索
精神科検索
神経内科検索
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます