正しい生活習慣を身につけることがナルコレプシー改善の第一歩!
有効と考えられている治療法・対策法について、ご説明します。
生活習慣の改善
まずは起床時間と睡眠時間を決め、規則正しい生活を送ることが最優先。睡眠不足が日中の眠気をさらに激しくしてしまうので、睡眠時間をしっかり確保しましょう。昼休みと午後5時頃に10~30分程度の昼寝をすると日中の眠気をコントロールしやすくなり、治療薬を減らすことも可能になります。車の運転や調理の最中に睡眠発作が起こると危険なので、できるだけ眠くなりにくい時間帯を選ぶなど注意が必要。生活リズムや眠りの質をよくするために、暴飲暴食を避けることも大切です。学校や職場に病気のことを説明し、理解と協力を得ましょう。
眠りの質を上げる睡眠薬の活用
睡眠が浅く、夜中に目が覚めやすいときには、作用時間が短い睡眠薬が処方されます。夜にグッスリ眠れることで、昼間の眠気が和らぐことも少なくありません。入眠時幻覚のせいで寝つきが悪い場合は、抗うつ薬であるアナフラニール(一般名:クロミプラミン塩酸塩)がよく効きます。精神刺激薬による日中の過眠対策
昼間の激しい眠気や睡眠発作に対しては精神刺激薬が処方されます。日本では、最近まで主にリタリン(一般名:メチルフェニデート)やベタナミン(一般名:ペモリン)が使われてきましたが、2007年にリタリン乱用や依存が社会的な問題となり、登録された専門医しか処方できない制度になりました。多用されてきたリタリンに代わって、2007年春からモディオダール(一般名:モダフィニール)が使えるようになりました。この薬は欧米を中心に世界30カ国以上で承認されていて、ナルコレプシー治療の第1選択薬となっています。
精神刺激薬は、夕方以降に飲むと夜の睡眠が障害されてしまいます。主治医の指示に従って、服用する時刻をきちんと守りましょう。これらの薬は、頭痛、イライラ感、口の渇き、動悸、胃の不快感、食欲減退などの副作用を起こすことがあります。さらに薬を飲んだ直後の30分程度、一時的に眠気が強くなる「逆説的な傾眠」が約1割の人に見られるので注意が必要です。
レム睡眠関連症状に対しての治療薬投与
ナルコレプシー治療に有効な、新しい薬が次々と開発されています
ただし、これらの薬には口が渇いたり脈拍が速くなったりする副作用が出ることがあるので注意が必要。緑内障にかかっていたり、おしっこが詰まって出ないなどの症状がある人は服用を禁止されています。
最近では、抗うつ薬の中でもより副作用が少ないセロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や、セロトニン‐ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)も処方されるようになりました。レム睡眠関連症状を治す薬を急に止めると、反動として情動脱力発作が重症化するリスクがあります。症状が落ち着いて薬を減らしたいときには、主治医とよく話し合いながら薬の量を決めてください。
近い将来には、γ-ヒドロキシ酪酸やアトモキセチン、ベンラファキシンなどの新しい治療薬も、日本で使えるようになる可能性があります。
闘病の強い味方「なるこ会」
どんな病気でも、1人での闘病は辛いもの。同じ病と戦う仲間がいれば、勇気もわいてきます。
ナルコレプシーの患者さんには、日本ナルコレプシー協会(通称:なるこ会)という強い味方がいます。なるこ会は会員同士の親睦を深め、症状のために障害されやすい社会生活の向上を図るため、昭和42年に発足しました。そして、平成16年10月に特定非営利活動法人(NPO)として再出発しました。
なるこ会では積極的に情報を発信することで、多くの人にナルコレプシーを正しく理解してもらい、患者さんが早期に診断されて治療を受けられるよう活動しています。 例えば、道路交通法施行令の改正の際に、素案にあった欠格条項からナルコレプシーを含む病名を取り除くよう運動したり、過眠症専門医の養成や治療薬の保険適応拡大にも取り組んでいます。
患者の立場でナルコレプシーに立ち向かっている「なるこ会」にご興味がある方は、ぜひ一度、会のホームページをご覧ください。