ぎっくり腰で救急車を呼んでもいいのか?「急性腰痛症」の対処法
あまりに強いぎっくり腰の痛み。不安感に襲われて、パニックに陥ってしまう人もいるほどです
ぎっくり腰は、突然体を動かせなくなるケースも多いため、焦ってしまい、どう対処すれば良いのかわからなくなってしまった、という話をよく聞きます。「ぎっくり腰で救急車を呼んでもいいのか」「外出先でぎっくり腰になったらどうするべきか」「自宅で痛みを緩和できる対処法は?」といった、よくあるご質問を元に、ぎっくり腰対処法をご紹介しましょう。
ぎっくり腰での救急車利用・救急外来受診は状況による
「腰の痛み以外に緊急を要する症状がない場合には救急車を呼んだり、夜間病院に行ったりするのは控えておく方がよい」と言われている一方で、症状・状況によっては救急車を呼んで良いとされるケースもあります。確かに、ぎっくり腰の痛みは非常に強いことが多く「痛くて動けない! どうしよう!」と、慌ててしまう人もいます。一般的なぎっくり腰は、激痛に見舞われた後に横になり落ち着くと、痛みが少し緩和される姿勢や動作が自覚できるようになります。患部を冷却することで、徐々に痛みが軽減し回復することが多いため、こうした傾向がみられることが冷静に判断できる状態であれば、救急車を呼ばずに様子をみても良いかと思います。
「救急車で急いでの受診は不要だったかも!?」と思ったケース
ぎっくり腰に見舞われた直後、動くことが困難だったため救急車を呼んだり、夜間の救急を受診したりした方からは、以下のような理由から「もう少し様子をみてもよかったのかも……」という声も聞かれます。- ベッドの空きがなく様子をみていたら気持ちが落ち着き、一旦帰宅することになった
- 慌てて受診したが、じきに治りますと言われた
- 緊急を要する状態ではなく、心配だったら後日検査しましょうと言われ、痛みは治まらないまま帰ることになった
まずは安静にし、自宅で様子を見る選択肢もあることを頭の片隅に入れておくのがよいでしょう。
ぎっくり腰で救急車を呼ぶべきか、判断の目安は?
「東京版の救急受診ガイド」のサイトに、救急車を呼ぶべきかどうかの判断の目安があります。「利用規約の同意」をクリックすると進むことができます。「①共通の兆候」「②年代を選ぶ」と進んでいくと「③症状を選ぶ」となります。腰痛以外の症状がみられず「腰痛」を選択した場合は、以降も質問に沿って選択してください。「救急車を要請」「1時間以内に受診」「明日の受診」というふうに回答を得ることができます。
東京在住以外の方でも判断の目安になると思いますので、こういったものを活用するのもよいでしょう。
腰の痛みで病院を緊急受診する目安……痛み以外の症状確認を
腰の痛みで救急車や夜間病院を利用する必要があるものは、基礎疾患がありその関連性が疑われるケースや下記の症状が見られる場合です。・突然の痛みがどんどん強まっている
・下肢のしびれや脱力感(麻痺)がある
・排尿・排便に異常がみられる
・痛みが移動している
・楽になる姿勢がみつからず、横になっても強い痛みがある
(寝返りなど動作時は除く)
・発熱・冷や汗が出る
・嘔吐を伴う腰痛である
・腰だけではない部位にまで痛みが出ている(動かさなくても痛い)
・外傷に引続き起きた痛みである
また、夜間を通して痛み寝付けなかった場合は、翌日の受診を検討されると良いかと思います。
外出先でぎっくり腰になってしまったときの対処法
1. まず安全の確保まず優先されるのは、安全な場所に身を置くということ。必ずしも建物内で痛めるわけではなく、道路を歩行中に突然腰に痛みが走り、その場にうずくまってしまうケースもあります。
人通りが多ければ、手を貸してもらい道の端へ移動することもできるかもしれませんが、四つんばいになり自力で移動することになる場合もあるかと思います。腰が痛いものの痛めた直後は動くことができて、時間の経過とともに動くことが困難になるケースもありますので、なるべく早めに安静にできる場所へ移動します。
2. 連絡を入れる
仕事中の場合は、職場へ連絡を入れ、状況を説明します。大切な会議や商談に向かう途中だったなど、仕事をサポートしてもらえるかどうか、また、場所によっては同僚が駆けつけて介助してくれたといった話もあります。仕事でない場合はご家族や知人など、手助けしてくれる方がいれば連絡をとります。
3. 整形外科・ドラッグストア・コンビ二を探す
一般的なぎっくり腰は炎症による痛みが強いことが多いため、すぐにどうにかして痛みが治まるということは難しいのですが、緩和させる処置ができればそれが最善です。
例えば、ドラッグストアやコンビ二で、氷とタオル・ハンカチを購入して、氷を袋の上からハンカチで覆い、痛めた腰に10分ほど当てて冷却します。発熱用冷却シートや冷湿布で痛みの感覚をやわらげる方法もあります。
近くに整形外科があれば、そこで痛み止めや湿布など処方されるかもしれません。また、腰痛ベルトによるアドバイスを受け、装着することで痛いながらもゆっくり歩行ができるようになることもあります。なお、腰部を保護して安定させる腰痛ベルトはドラッグストアでも購入可能です。
4. 民間救急サービスという選択
自分ひとりではどうにもならない場合もあると思います。一人では痛みと不安がつのるばかり……という場合には民間救急サービスを選択してもよいでしょう。
ぎっくり腰になると、乗り降りや自宅・病院の入口まで助けを借りなければならないケースが多いため、通常のタクシーでは業務外となり絶対的な対応は不可能です。一方、民間救急サービス(電話受付8時~18時)では救急車を呼ぶほどではないものの、自分ひとりでは歩行が困難である場合にも対応可能です。全国にネットワークがあり、かかる時間・走行距離により費用が異なります。詳細はこちらを「民間救急サービス」をご覧ください。
自宅・屋内でのぎっくり腰の痛み緩和法・応急手当法
1. 安全の確保自宅や屋内でぎっくり腰になった場合は、車や自転車など外からの身の危険は少ないのですが、何か危険なものの取り扱い中(機械やガスコンロ使用中など)であれば、まず安全な状態にしてください。
2. まずは横になり安静を保つ
なるべく体の冷えない場所がよいのですが、まずは横になり安静にします。横になれない場合は安定性のあるものや壁によりかかるのもよいですが、なるべく体の力が抜ける状態にします。
3. 患部を冷却する
ぎっくり腰では患部に炎症がみられる可能性も考えられ、熱感を確認できることもあります。炎症の痛みを抑え緩和させるためにも、なるべく早めに患部を冷やしましょう。
発熱の際に使われる、変容タイプの冷却枕やアイスパック、また、氷嚢や水をくぐらせた氷を数個ビニール袋に入れたものを用意します。直接冷やすと皮膚を傷めてしまうかもしれませんので、タオルを介したりハンカチを巻くなどしてください。冷却アイテムが用意できたら患部へ約10分間当てましょう。血管を収縮させ痛みを和らげます。トイレへ行くのに頑張って動きすぎたなど、直後に痛みが強まった場合にもすぐに冷却してください。個人差はありますが、強い痛みが軽減されるまでに2~3日を要します。
なお、自宅以外で冷却アイテムを用意できない場合には、時間の経過とともに痛みが強まる可能性があるため、なるべく早く助けを呼ぶか、自力で処置のできる場所へ移動し、冷却後布団で横になりましょう。
4. 不安な場合は医療機関を受診する
心配であれば、翌日、家族や知人にお願いをして車で病院へ送ってもらい検査を受けましょう。往診可能な整形外科もありますので、歩行が困難な場合に相談できるよう、日頃から調べておくとよいかと思います。
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