虫歯/神経を抜く治療・根幹治療

歯の神経を抜く方法・取り方とは?【歯科医が画像で解説】

【画像あり】【歯科医が解説】 歯の痛みを我慢していると、痛みが落ち着くことがありますが、我慢と放置を繰り返して、歯の神経を抜くことになってしまうケースは珍しくありません。歯の神経を抜く方法・取る治療法の進め方、実際の神経の抜き方について解説します。

丸山 和弘

執筆者:丸山 和弘

歯科医 / 歯の健康ガイド

歯の神経を抜く治療方法・取り方

虫歯イメージ

虫歯は自然治癒で改善するものもありますが、治療方法は進行度によって異なります

進行した虫歯が自然治癒しないことは皆さんもご存知の通り。「歯が痛かったけれど、しばらくしたら落ち着いた」と話される方もいますが、我慢や放置を繰り返すことで虫歯が悪化し、歯科で神経を取る治療が必要になることは珍しくありません。

歯の神経はどうやって取るのか、治療手順はどのような流れかを、歯の神経の組織や役割の説明を交えながら解説します。

<目次>  

「歯の神経」とは?……歯髄の働きと役割

歯の構造
どの歯にも内部には必ず歯髄が入っている
皆さんが「歯の神経」と呼んでいる歯の内部の痛みの感覚を生み出す元の部分は、「歯髄」と言います。

歯髄は単に痛みを感じる神経線維ではありません。極細の血管が走っており、動脈や静脈も存在している組織です。

歯髄の役目は、主に象牙質と呼ばれる部分の栄養補給や修復などの働きがあります。さらに虫歯菌などの細菌が歯から体の中に入り込もうとするのを防御します。

虫歯が歯の内部に進行して歯が痛くなった時点では、すでに、歯髄の虫歯菌への防御が危うくなっている状態です。防御できなくなると、歯髄が炎症を起こして、強い痛みを引き起こします。
 

「歯の神経を抜く」治療のメリットとは?

自然治癒がほとんど起こらない虫歯の治療では、歯の痛みに対して、一番単純で確実な治療法は、抜歯です。炎症を起こしている神経部分を含めて、歯を丸ごと抜いて治癒させます。

しかしそれでは虫歯になるだけで、歯がどんどん失われてしまうことになります。そこで痛みの原因である内部の神経だけを取ることで、歯を抜かずに、機能や形を再生させるのです。

抜歯に比べれば、時間や期間、費用などもかかりますが、歯を残すための最後の手段として用いられるのが一般的です。
 

歯の神経を抜く流れ・一般的な手順

1. 麻酔する
歯髄を痛みなく取り除くためには、歯髄が歯に入り込んでくる、根の先端部分に麻酔液を到達させなくてはなりません。しかし根の先端は、骨の中に隠れているために外からはまったく見えません。

そこで根元の歯茎や、周囲の歯茎の部分から、麻酔液をゆっくりと骨の内部へと浸透させるように麻酔が行われます。 

2. 虫歯を削りながら歯に穴を開ける
歯の神経を取る穴
歯の神経の形に合わせて穴を拡げていく

虫歯を取り除くとともに、歯の内部にある歯髄が入っているスペースに回転器具などを使って穴を空けていきます。

このときの穴の深さは、歯の咬み合わせ面から、概ね5~8mm程度。歯髄は、比較的深い場所にあるのが一般的です。

3. 根の部分の歯髄を見つける
歯髄は根の先端から歯の内部に入り込んでくるため、一般的に前歯で1本、上の奥歯で3本、下の奥歯で2本などと、根の本数により枝分かれしています。

歯の神経を取る際に難しいのは、これらの根の枝分かれを確実に見つけなければならないことです。どこにどんな形の枝分かれになっているかは、十人十色で、正確には穴をあけてみるまで分かりません。取り残しの根があると後日痛みを引き起こすこともあります。
 
4. 根の部分の歯髄を取り除く
歯の根の神経を取る
歯の根の部分にある神経は細い器具で取り除いていく

根の部分の歯髄は非常に細い(シャープペンシルの芯よりもずっと細い)ため、針のような器具を使って神経の空間ごとやすりがけのようにして、歯髄を取り除いていきます。

5. 薬を入れて蓋をする
歯の神経を取り除いたその日のうちに、しっかりとした詰め物で穴を埋める方法と、当日は、薬を入れて仮の蓋をしておき、根の治療を数回繰り返してから穴をしっかり埋める方法の2種類があります。

麻酔が切れた後の症状は、神経を取ってピタリと痛みがなくなることもあれば、しばらく痛みが残ることもあり、さまざまです。神経を取り除いた後の空間はそのままにせず、数回の治療の後、詰め物でしっかりと根の内部まで塞ぐ治療が行なわれます。

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