「歯医者を変えたい」…患者さんが歯科転院を考える理由

病院受付

歯医者に限らず、転院への不安は大きいものです

虫歯治療や歯周病治療など、通院回数も多く、治療期間が長くなりがちな歯科。治療を受ける中で、違う歯科に変わりたいと考えることもあるかもしれません。

「治療方針があわない」「治療成果に何となく不安がある」「引っ越しになった」「忙しいので職場に近い歯科にしたい」など、治療中に転院を考える理由は様々でしょう。引っ越しや仕事の事情などは止むをえませんが、転院を希望する理由によっては、主治医に直接相談しにくいこともあるかもしれません。

「別の歯医者に変えたい」と通院する歯科の転院を考えている人に、治療途中での転院の可否、スムーズな方法、メリット・デメリットを解説します。

虫歯や歯周病治療途中での歯科転院は可能?

転院は自由。ただしリスクも考える必要あり

転院は自由。ただしリスクも考える必要あり

日本では主治医を固定する決まりはなく、歯科もその例外ではありません。通院中であれ、いつでも自由に病院を選択することができます。逆に病院側が患者を選択することは、基本的にはできない決まりになっています。

従って、制度としては治療途中の転院の場合でも何の手続きもいらず、前の病院に連絡を入れる義務もありません。

患者側からは転院は一大決心でしょうが、病院側としては、数は少なくても、別の患者さんが転院してきたり転院されたり……ということは日常的な現象。そのため、転院された病院側が他の病院に悪い情報を流すのでは……といった心配をする必要はありません。安易に転院を繰り返すことはオススメできませんが、新たなスタートはいつでも自由にできるのです。

歯科を変える転院のメリット

引越しや転職などに伴う通院の問題が解決できるのはもちろんですが、担当医師を変えることで、前の病院では受けていなかった検査が受けられたり、それにより新しい診断や病気が見つかることもあります。

また、それまでの治療に納得がいかなかった場合、それを解消する方法でしっかり治療してもらえる可能性も当然期待できます。

歯科を変える転院のデメリット…ドクタ-ショッピングにも

転院したからといって全ての問題が解決するとは限りません。逆に転々と転院を繰り返すドクターショッピングにはデメリットがあるのも事実です。

私が過去実際に担当したことのある例ですが、ブリッジ予定の土台の歯が少し痛むと来院された20代の患者さんがいらっしゃいました。私で4人目だったようですが、レントゲンでは異常が見当たらないため、まず軽い調整のみで経過観察しながら数回来院してもらうことにしました。その後音信不通になり、1年半後に再び来院されました。症状は少し良くなったが再度相談したいとのこと。

「1年も経っているから、いよいよブリッジかな?」と口の中を見ると何かおかしい。何とそこにあったはずのブリッジ土台の歯が丸ごとなかったのです。話を聞くと、その1年程度の間にさらに数件の病院を回り、どの病院でも異常が見つからず経過観察を提案されたとのこと。しかし最後の病院では、麻酔して治療するのかと思ったら、十分な説明もないままに抜歯をされてしまったそうなのです。

土台がなければブリッジはできず、もう入れ歯かインプラントしか方法はありません。その病院でインプラントをすすめられたが、高額で無理な上に、入れ歯はまだ入れたくないと考えて戻ってきた……ということでした。

大きな治療ををせずに経過観察を勧めた病院が数件。痛みを取るために抜歯して望みを叶えた(?)病院が1件。抜歯すればこの結果になることは多くの病院で指摘されていたはずです。しかし何人ものドクターが説明しても、抜歯するまで転院が繰り返されて、抜歯されてから初めて「経過観察」の意味を本人が理解したような状況でした。

抜歯した病院も説明はしていると思いますが、過度なドクターショッピングには、ロシアンルーレットのように思いもよらない結果が隠れている場合もあります。想定以上のリスクが潜んでいることもあるのです。

歯医者を変えるときの注意点・歯科転院にあたり大切なこと

それでは最後に、治療についての不信感などで転院する場合、上手な転院にするために大切なポイントをご紹介しましょう。

■ しっかり下調べをする
適当に運任せで受診すると、同じような病院にかかってしまうリスクは高くなります。転院リスクを減らすために、できればその病院で治療を終えた人の口コミや、ホームページなどに掲載されている情報を、できるだけ有効に利用しましょう。

■ 主な転院理由を1つだけ明確にしておく
「何となく……」「ちょっと合わない気がした」ではただのドクターショッピングになりかねません。転院を考えた大きな理由を明確に1つに絞って考えておきましょう。

例えば治療を繰り返したのに痛みが治まらない場合、転院の目的は痛みを取ることでしょう。しかし転院先で抜歯を提案された場合はどうでしょうか? 歯も残したい、痛みも取りたい、治療期間も1~2回で…などと、転院したからといっていくつもを望むのは禁物。まずは1つだけ目的をはっきりさせ。そこから次につながっていくことを考えましょう。その他にも、「治療方針をちゃんと説明して欲しい」、「費用について明確に聞きたい」など、まずは1つに的を絞って転院理由を伝える方が効果的です。

■ 転院後は最初から診察し直しになることを覚悟する
前の病院で受けた治療について伝えることは大切ですが、事細かに説明する必要はありません。「右下奥歯の神経の治療中」「虫歯で仮の薬で様子見中」などざっくりで大丈夫です。

治療途中の引き継ぎといっても、レントゲンなどを見て一から診断になることが多いので、治療開始直後は時間や回数が余分にかかるのが普通。さらに同じ症状でも病院が変わればシステムや治療法が違ってくるのは良くあることです。

■ 慎重派はセカンドオピニオンから
治療法に疑問を感じているけど、いきなり転院は考えていない場合、現在の状況を他のドクターならどう考えるか、意見を聞くだけの「セカンド・オピニオン」という方法もあります。この場合セカンドオピニオンをしてもらえるかどうかの確認が必要です。

最後に……もし元の歯科医院に戻りたくなったら

以上が転院の重要なポイントです。また、もし転院してみたものの、前の病院の良さに気づいて戻りたくなったら……。そんな時は「しばらく仕事の都合で違う病院に行ってみたが…」、「近所にできた病院に行ってみた…」や「友達に紹介されたのでちょっと通ってみた…」「またお願いします。」でOKです。患者さんが転院しても戻ってこられるケースも病院には良くあることです。下手な心配をせずに戻ってみましょう。戻ってきてくれたことを逆に感謝してくれるかもしれませんよ。


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