虫歯/神経を抜く治療・根幹治療

歯の神経を抜くリスク・抜かないリスク

歯の神経は、誰もが抜かないで欲しいと思うもの。しかし虫歯菌に汚染された神経を、無理に残すと様々な問題が起こります。歯の神経を、抜くか抜かないかの状況での、考えられるリスクを比較してみましょう。

丸山 和弘

執筆者:丸山 和弘

歯科医 / 歯の健康ガイド


深い虫歯の歯の神経を抜かないリスク

抜随しないリスク

かなり昔は歯を抜いていたはず。神経を抜けば治るというのは凄いことでもある。

浅~中程度の虫歯では、神経を残すことはメリットが多く、リスクはほとんどありません。ただし歯の神経部分にまで虫歯が達しているような場合は次のようなリスクが考えられます。

■後日痛みが出る可能性
神経を無事残せる場合でも1~2日痛くなることがありますが、1週間以上たっても段階的に痛みが増すようなら、再治療で神経を抜くことになります。

■違和感や痛みの長期化
自覚症状がなくても徐々に神経が死んで、神経が腐敗した状態になると、治療後数ヶ月から数年の間に、冷水痛や温水痛、違和感、歯の根の先に大きな膿を溜めることがあります。

■症状の悪化
治療前より歯がズキズキしたり、しみたり、叩くと響いたり、何もしなくても痛くなったり、すでに炎症が起きている場合には、神経を取るのが遅れるため、我慢できないほど症状が悪化することがあります。

歯の神経を抜いた後のリスク

意外かもしれませんが、歯の神経を抜いた後でもリスクがあります。

■神経の取り残しの可能性

歯の根の形や、神経部分の形などは、人によって全く異なります。簡単に神経を取れる物から、複雑で完全に神経を取ることが難しい物まで様々です。特に奥歯になると根の形態が複雑になり、歯の神経を取り残しや炎症で、痛くなることがあります。

■歯が脆くなりやすい
歯の神経を抜くと内部に栄養が送られなくなり、将来的に神経がある歯よりも、脆くなり割れたり、折れやすくなると考えられています。

■歯を削る量が増える
神経を抜かない場合は最小限で済みますが、神経を抜くと被せモノをする傾向が増えるため、結果として多く歯を削ることがあります。

■数年後のトラブル

治療が不完全になってしまった場合には、数年から数十年後に根の先端に膿が溜まるケースも考えられるため、再治療が必要になることがあります。ただし上記の神経を残して腐敗した場合に比べて、スピードはゆっくりです。

神経を抜くことは決して「悪」ではありません。歯を丸ごと抜歯して、治す訳ではないのです。痛くなり炎症を起こした神経だけを取ることで、痛みが無くなり、被せて歯の機能を復元ができる、素晴らしい治療法だと思います。

ちなみに歯の神経を取る行為は、治療する側から見ると、時間もかかり大変な作業となるため、浅い虫歯で残せる神経を、何の理由もなく、わざわざ抜いて治療するなんてことは、まずありません。

虫歯は早期発見・早期治療がオススメ

歯科医療の行為や精度は、保証付き工業製品のそれとは異なります。どんなに的確に治療を行なったとしても、一生保証されるといったことはありません。またどちらの治療を選択しても、それぞれにリスクが存在し、不安定要素が、多かれ少なかれ残ることもあります。それを補うことができるのが治療後のメンテナンスなのです。

一般的には、病状が進行すればするほど、治療後に不安定となるリスク増えてきます。逆に病状が初期であればあるほど、確実に元の状態に戻しやすいと言えます。定期検診での早期発見・早期治療は、このような歯の神経を抜く、抜かないで悩まなくて済むばかりか、リスクの少ない簡単な治療で長期間安定した状態を得ることが出来るのです。

いきなり深くなる虫歯はありません。神経をどうするかで悩む前に、ぜひ早い段階での治療をオススメします。
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