歯の神経の役割は? 神経を取るとどうなるか

歯を磨く幼児

虫歯が深ければ、残したくても残せないことが多い

歯の被せものを作る場合、被せる土台となる歯の内部の神経を、取ってから被せる場合と、残したまま被せる場合があります。それぞれの特徴について解説します。

まず、「歯の神経」の役割をおさらいしておきましょう。歯の内部には、神経や細い血管などで満たされている空間「歯髄」と呼ばれる部分が存在しています。歯髄には歯に栄養を運んだり、虫歯菌などの細菌が歯から体内に入り込むのを防御する役割があります。

歯を木に例えると、栄養が常に運ばれている木と、運ばれていない木では、形はどちらも同じように見えても、粘りや抵抗力などは栄養が運ばれている方がしっかりとしている感じはイメージしていただけるかと思います。歯の場合も同様です。こう聞くと、神経は温存したいと考える方が多いと思いますが、大きな虫歯になっている場合は、神経を取るしか選択肢が無いこともあります。

神経を取るか取らないか……メリット・デメリットを比較

歯の神経を残して被せた場合と、歯の神経を取って被せた場合のメリットは、次のようになります。

■歯の神経を残して被せた場合のメリット
  • 被せた後のリスクが軽減される
  • 歯の神経を抜く場合には、神経を抜いた空間に詰め物などを埋める必要がある。根の治療を行なわないため、治療後しばらくしてから根の先にトラブルが起こるリスクを考えなくても良い。

  • 歯の耐久性が高くなる
  • 神経がある場合は、歯に粘りや抵抗性があるため、神経を取った場合に比べて、耐久性に優れる。特に前歯の差し歯では、被せた後で、歯の根が折れるなどといったトラブルが起こりにくい。

■歯の神経を取って被せた場合のメリット
  • 歯の痛みから解放される
  • 歯の神経を取り除くため、歯の根元が露出してきても、仮に被せた後に虫歯になったとしても、しみたりすることがなくなる。

  • 審美重視の被せものが作りやすい
  • 神経がある場合は、被せる前にあまり削れないため、被せものの大きさや、角度などが制限されることがあるが、神経が取った場合には、歯の形や角度を大きく修正し、審美的に優れた形態の歯を作ることも可能となる。

それぞれのデメリットは、上記のメリットの逆のことが想定されると言えます。

あえて神経を取るほうが良い場合とは?

抜髄
被せる前に神経を抜くことになる歯が約8割、神経を残して被せることが出来るのは約2割程度かも?
基本的には、元来存在する神経は炎症が無ければ、取る必要はないのが大原則です。しかし次のような場合には、歯の神経をあらかじめ取ることがあります。

■術後の違和感の可能性
歯周病の進行の程度や、歯の場所や形によっては、神経を残して被せると、治療後に痛みやしみたりすることが予め判っている場合。

■歯の移動の可能性
歯周病の治療後や、小矯正などで、歯が移動した後で、被せる際に歯を削ると、神経が露出する恐れがある場合。

■咬み合わせや歯並び
咬み合せや歯並びが原因のトラブルの場合、歯を形態を大きく修正したほうが良い場合。しかし神経があると修正が制限されるため、神経を取ってから被せることもある。

■審美性
被せものの審美性を優先すると神経が無いほうが有利となる場合。


実際、臨床では何を最優先するかによって選択肢が変化することが多くなります。さらにさまざまな問題を考慮し、無理に神経を残すより、抜くほうが、メリットが多いと判断できれば、被せる前に神経を取ることもありえるのです。


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