急性アルコール中毒の症状・注意
アルコールの主な作用は神経系の麻痺。運動の調節ができなくなるため、酔いが進むと、呂律が回らなくなる、足下がふらつくなどの症状が出ます。急性アルコール中毒のレベルになると、ふらつきだけでなく自力で立てないほどの運動障害を起こしたり、昏睡状態になることもあり、最悪の場合は呼吸停止(呼吸不全)や急性心不全が起きます。いずれにせよ脳に血液が行かない状態になるため、蘇生しても重篤な後遺症が残る例が報告されています。しかし、急性アルコール中毒で怖いのはこれらの本格的な中毒症状だけではありません。飲酒後の直接の死因は、転倒や嘔吐による窒息がほとんど(詳しくは「急性アルコール中毒と依存症」を参照)。
急性アルコール中毒の前の状態でも、足下がふらついて転倒したり階段から転落することで、手の骨折や顔面挫傷、前歯の損傷などで医療機関を受診する人は少なくありません。特に酔った状態の階段は危険で、転落による頭蓋骨骨折で運ばれてくる人もいます。転倒の危険は、急性アルコール中毒を起こす半分程度の血中濃度で高まります。上に計算した半分程度の飲酒量に抑えないといけないということです。
体重の分のg相当、70kgの人だと70gのアルコール量、缶ビールならば5缶程度で抑えましょう。この量なら、翌朝にはアルコールが分解されている計算となります。
急性アルコール中毒の対処法・アルコールハラスメント対策
急性アルコール中毒になった場合、自力で対処することはできません。同席している人は上述した症状が出た場合はとにかく早急に救急車を呼び、適切な治療を受けさせましょう。また、急性アルコール中毒は自殺企図 のための大量飲酒を除くと、自ら進んで飲むケースはほとんどありません。いわゆる一気飲みを強要する「アルコールハラスメント(アルハラ)」によって起きています。アルコールが体に吸収されるまでには30分程度かかるため、一気に大量飲酒しても吸収されるまではアルコールによる薬理作用はわからず、周りも大丈夫と判断を誤ってしまうことが多いようです。アルコールが吸収されると血中濃度が一気に上昇して急性アルコール中毒が起きてしまいます。一気飲みの強制は危険だということを知り、強制しない・自分でも無理をしすぎないことが大切です。