気合いだけでは止められない! 喫煙は「治療する」時代
疾患との関連が深く、受動喫煙による健康被害も指摘されている喫煙。医師としては禁煙を強くお勧めします
健康増進法の施行後、公共の場所での禁煙やたばこ税の増税など脱タバコへの取り組みは社会的なムーブメントになりつつあります。タバコを吸うという喫煙行動はニコチンという薬物依存によるものということも、徐々に知られるようになってきました。
それまでの「気合いで禁煙する」時代が終わり、薬物依存に対する治療として禁煙が考えられ始めているのです。
これに併せ、禁煙治療に健康保険が適用されるようになりました。つまり喫煙が「ニコチン依存症」という病気として、保険上は分類されたわけです。最近、有名な俳優さんが禁煙外来を受診する模様を、テレビCMでご覧になった方も多いでしょう。
禁煙外来が気になりながらも、病院に行くのはまだ抵抗があるという人には、薬局での治療をお薦めします。禁煙の相談相手となるプロは、医師だけではないのです。
薬局に相談できるニコチン依存症治療
禁煙サポートは、医療機関だけでなく薬局でも可能。時間や予約を気にせずに、すぐに薬剤師に相談できるところが薬局の良いところです
ニコチン依存症に対する基本的な治療は、タバコで摂取していたニコチンを別のルートで体内に補充しつつ禁煙を継続し、ニコチン量を徐々に減らすことで最終的には完全な禁煙に到達するというもの。
ニコチンを体内に入れるためには、我が国ではガム、そして最近ではパッチ(貼り薬)が使われてきました。以前はパッチの使用には医師による診察と処方箋が必要でしたが、最近では薬局でも「ニコチンガム」だけでなくパッチがOTC薬として販売され始めています。
また、日本禁煙学会や各都道府県の薬剤師会が一定の禁煙に関する知識や経験を取得した薬剤師を、「認定指導薬剤師」や「禁煙指導薬剤師」として認定するなどソフト面の充実も図られてきています。
つまり、従来は医療機関のみで行われてきたパッチによる治療が、ほぼ同様の形で薬局でも行えるようになってきたのです。