食と健康/「食」の安全・社会問題・ニュース

地鶏の養鶏場と加工現場をレポート(2ページ目)

食品の偽装ニュースで騒々しい昨今。食べ物の生産現場を見ることで、食が様々な社会の問題につながっていることを知ります。養鶏家と鶏肉加工の現場をレポートします。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

生きた鶏がお肉に変わる

鶏肉加工
このハンガーに鶏の足をかけてラインはスタートします。
まず先に、鶏肉の加工業の「吉備食鶏」さんを尋ねて、作業現場を見学させていただきました。普通の加工会社は、「朝びき」と言えば午前7時頃から作業がスタートするそうですが、吉備食鶏では、他の鶏肉と混ざらないように時間を分け、午前3時からよつ葉向けの「紀州赤地鶏」の作業を行っています。

ただ鶏を加工する作業だけではなく、様々な品質検査等法例に則った作業を行い、午前7時頃には、さらに細かく加工パック詰めする関西ブロイラーさんに配送されます。(この2社は有田養鶏農業協同組合の処理、加工場)。

吉備食鶏に、私たちが到着した11時頃には、すでに鶏はお肉の状態になっていましたが、他の鶏肉加工の作業を見せてくださいました。出荷された鶏は、まずこのハンガーのようなものに吊られます。だいたい1時間に2,000羽、1日7,000~8,000羽がラインを流れて行くそうです。

部位分け
ここでは、もう鶏肉に。水を使い冷えるので、寒い時期には大変な仕事です。
次は、頸動脈を切る工程。この作業はたいへんナイーブで、このプロセスで品質を決めると言っても過言ではないそうです。うまく切れないと血が全身の肉にまわってしまい商品にならないそうです。自動で行う機械もあるのですが機械を使用する方が失敗も多いため、現在は手作業で行い、ほとんど失敗なくされているそうです。

この後は、「放血」という血をだしてしまう過程ですが、ほんの2.3分ほどの時間だそうです。というのも、この地鶏はとても元気がよいので、バタバタと暴れることで血が出やすく、元気のない鶏ではもう少し時間がかかるそうです。お湯につけた後、ゴム製のタワシのようなものでこすりながら羽をとっていきます。「赤地鶏」は身がしっかりしているので、羽がとれにくくご苦労されているそうです。

鶏肉
すっかり「お肉」の状態に。
ここからのプロセスはもう「鶏肉」の状態になります。私たちも、ここから実際の作業を見せていただきました。鶏ガラと肉類に分け、さらに「もも肉や」「胸肉」「せせり」「ささみ」などに分けて行きます。

見せていただいたのは「梅どり」という商品。鶏の餌に梅干しを漬ける梅酢の塩分を取り除いたエキスを飼料に加えて育てているそうです。昔から鶏を育てる時には餌にお酢をいれると元気になるという言い伝えをヒントに、和歌山なら特産の梅酢を使おうということで開発されました。その効果なのか「梅どり」はほとんど病気せず、またお肉も柔らかいのだそうです。各産地で、いろいろな工夫をして特色をだしているんですね。

地鶏は、45日程度で出荷してしまうブロイラーと比べると、日齢をおくことで、赤身のある肉になるのが一般的ですが、餌等によっては色も異なるので、一概に赤っぽいから地鶏と思い込まない方がよいそうです。

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