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あまった食べ物を有効活用! フードバンク(3ページ目)

日本は、食料自給率が4割を切る一方で、大量の食品がゴミとして捨てられ、その量は年間で約2000万トンと言われています。今回は、余った食品を預かり必要な所に届けるシステム「フードバンク」をご紹介します。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

日本の社会に根付いたシステム作り

シェルター
「フードバンク関西」ては、1日平均200kg、年間約70トンの余剰食品を、求める人たちに分配し活用しています。
 アメリカでホームレスの人たちに炊き出しで食事を提供する様子は、メディアなどを通じて目にしたことがあります。「フードバンク関西」では、食事ではなく、食品をそのまま団体に分配されていますね。

浅葉 「フードバンク関西」は、日本の社会に根付いた活動を模索しています。この豊かな日本でも、ホームレスの人たちだけでなく、たとえば精神、知的障害者の皆さん、家庭での養育ができず施設で暮らす子供たち、DVから逃れて緊急生活支援施設で暮らす子どもを抱えた女性たち、一人暮らしをしている高齢者の皆さんなど、生活弱者と言える人たちはたくさんいます。皆さんとても困難な生活をされています。

そこで私たちは、企業から回収したり個人の皆さんが寄贈してくださった余剰食品をそのまま生活弱者を支えるNPOや福祉施設などの団体に無償で分配し、その団体の状況に応じて活用していただいています。

 なるほど、高齢者なのか子どもなのか、年代によっても作る料理は違うでしょうし、活用の仕方は受け取る側に任せた方が、確かに喜ばれますね。

浅葉 障害者の年金生活も、医療費負担が増え、厳しいものがあります。また児童養護施設などは、家庭環境が複雑で養育が困難になり入所するケースも増えているため、施設によっては出費を節約して子どもたちの精神的なケアのためのカウンセリングに予算を回したいというところもあるのです。

安全性の確保や責任の問題をクリア

 このシステムをつくる上で、安全性の確保とか、責任というのも重要だと思うのですが、その点はどのようにクリアされているのですか?

浅葉 提供してくださる企業は、商品として扱えないけれども、安全で美味しい食品を提供してくださっているので安全面では信頼できますし、野菜、果物など、目で見て傷みが進んでいるものは提供前に処分され選別されたものを提供してくださいます。引き取り時にボランテイアも点検し、再度選別しています。

さらに一番重要なところなのですが、福祉団体に余剰食品を受け取って活用を開始していただく前に、食品の取り扱いと責任の範囲や安全管理などについて、十分にお互いに理解をしあった上で確認書をかわしています。

その内容は、福祉団体は自己責任において受け取った食品を選別し、保管、調理、廃棄すること、それらを金銭と引き換えに第三者に渡さないこと、施設の利用者に無償で提供すること、万一事故があっても訴訟は行わないことなどです。

 なるほど。それが日本の社会に根付かせる上でも、大切なところだということがよく分かりました。


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