トランス脂肪酸とは……健康への悪影響も
マーガリン、ピーナツバター、マヨネーズ、菓子類、カップ麺、フライドポテトなど、多くの食品に含まれているトランス脂肪酸。日本では特に規制されていませんが、食生活が乱れ気味の人は、自分で過剰摂取にならないよう注意する必要がありそうです
日本ではトランス脂肪酸はどの程度管理されているか
このトランス脂肪酸について、諸外国では使用禁止や含有量表示が義務付けられるなど、厳しく制限・管理されているケースがよく見られます。例としては、WHO(世界保健機関)が各国に2023年までに、加工食品のトランス脂肪酸を減らすように呼びかける「REPLACE」プログラムをスタートさせました。一方で日本ではあまり関心を持たれていないようで、トランス脂肪酸の表示義務はありません。日本人は、「ナチュラル」「天然」「ヘルシー」といったキーワードに関心を持っている人が多いようですが、人工的で健康に悪いといわれているトランス脂肪酸については、放置され気味のようで、少し悲しいパラドックスが起きていると感じます。ただし最近ではコンビニや一部の食品メーカーでは、トランス脂肪酸の少ないオイルを使用したり、食品にトランス脂肪酸を含んでいないことを明記するなど、改善がみられるようです。
随分前から、体への害が報告されているトランス脂肪酸ですが、実は私が本気でトランス脂肪酸を意識し始めたのは、少し遅れて2006年くらいからで、個人的な取り掛かりが遅かったと反省していたりもします。私もたまにトランス脂肪酸を含む食品を食べていますが、体への悪影響については理解できているので、食べている途中で美味しく感じなくなることもあります。
トランス脂肪酸は食べても大丈夫なのか
日本では、「普通」の食生活においては、トランス脂肪酸の摂取過剰によるリスクを心配する必要はない、という見解が強いために現時点では何も規制がされていないようです。諸外国と比較してトランス脂肪酸の摂取が低いという理由もあるようです。しかし「普通」の食事をしていない人にとっては深刻な問題になりかねません。実際のところは、「普通」の食事を定義するのも難しいと思います。トランス脂肪酸を多く含む食事例を挙げてみましょう。■トランス脂肪酸の過剰摂取が心配される食事例
朝食:パンにマーガリンや菓子パン、クリーム入りコーヒー
昼食:ファストフード、コンビニ弁当、又は冷凍食品を利用した弁当
おやつ:クッキー、クラッカー
夕食:インスタント・レトルト食品を利用したもの
このような食生活をしている場合、特に注意が必要です。特に、悪玉コレステロール、動脈硬化、心臓疾患、がん、免疫機能、認知症、不妊、アレルギー、アトピーなどで悩んでいる人は、食事内容を見直してみるべきかもしれません。
次に、トランス脂肪酸を含む食品一覧でご紹介します。
トランス脂肪酸を含む食品一覧
知らず知らずのうちにトランス脂肪酸が多く含まれている食品を日常的に摂取していないか、ワースト5の食品グループをチェックしてみましょう。トランス脂肪酸は、水素添加によって製造されるマーガリン、ファットスプレッド、ショートニングや、それらを原材料に使った食べ物に含まれます。製造会社によって、その含有量などは大きく異なる場合もありますが、下に示している食品を多用している人は過剰摂取している危険性が高いです。■塗りもの・オイル系
マーガリン、ピーナツバター、マヨネーズ、コーヒーのクリームなど
■お菓子系
ケーキ、アイスクリーム、チョコレート菓子、クッキー、クラッカー、菓子パン、クロワッサン、菓子パイ、ポテトチップス、ドーナツなど
■インスタント・レトルト系
カップ麺、インスタント麺、缶のスープ、ハヤシ・シチューのルウ、カレーのルウなど
■ファストフードやファミリーレストラン系
チキンナゲット、フライドポテト、フライドチキン、パイなど
■冷凍食品系
から揚げ、ケーキ、ピザ、魚のから揚げ、コロッケ、天ぷらなど
いかがでしょうか? 日常の食生活でこれらの食品をほとんど食べない人と、多用している人がいるのではないでしょうか? これらの食品をよく食べる人は、どれくらいのトランス脂肪酸が含まれているのか探ってみる必要があるかもしれません。