悪性腫瘍( ガン )に対する免疫能は血液で判るの?
最近頻繁に、自然免疫力をつけるという文句でで引き合いに出される 『ガンに対する免疫能』ですが、その増加を測定する事は、可能なのでしょうか?ガン の免疫能を測る際によく登場するものにリンパ球の一種のNK細胞数があります。特定の食品を食べる前と後…etc.を比較して、NK細胞が増加したから免疫能が上昇した---などと報道されているのを聞いたことがあるのではないでしょうか。
確かに、NK細胞は悪性腫瘍に対して反応します。しかし、NK細胞は、数と活性(細胞の元気さ)の両方が関係します。なので、細胞の数だけでは、免疫能を知ることはできないのが現実です。
実際、測定すると体に ガン を持っている患者の方が、体に ガン を持っていない健康人よりNK細胞の細胞数が高い事もあります。加えて細胞活性も高い事もあります。
血液中のNK細胞数とNK細胞の活性(元気さ)を測定しても、癌細胞に対してどのくらいNK細胞が働いているかは、確認することはできません。
確実に免疫力を上げる方法はワクチンだけ
最後に、確実に免疫力を上げる方法についてお話をしましょう。実は、病原体に感染しないで免疫力をつける確実な方法はワクチンしかありません。日本からジフテリア、小児麻痺(ポリオ)がなくなったのは、ワクチンが有効だったからです。しかし、ワクチンを接種したこの場合でも、免疫が戦うべき相手が来ないと本当に排除できる(予防できる)かを確かめることはできません。
現在は、一部の癌に対して、手術時に切除した癌組織からワクチンを作成して再発防止を試みています。
花粉症の症状があるガイド自身は、花粉症のワクチンが許可される事を望んでいます。
おまけ:特定のウイルスに対する免疫力は血液で判ります
血液を調べて免疫能について判らないと誤解されては困るので、少し補足的なお話をします。今までは、不特定の病原体についてお話をしてきましたが、特定のウイルスに対する免疫能はある程度推定する事が可能です。例えば、採血して血液を調べて、特定のウイルスに対する免疫力を調べることができます。血液中の特定のウイルスに対する抗体の量(抗体価)により、そのウイルスに対する免疫力を推定する事ができます。
抗体価がある事は以前に感染して免疫力がある事を意味します。ある程度抗体価があれば感染しない、または感染しても症状が軽いことになります。
本人が知らないうちに免疫力がついている場合もあります。これを不顕性感染による免疫と呼びます。
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